もの悲しい秋の情景に、さみしい描写。でもどこか、しっかりとした生活を感じさせる物語。自分の落ち葉は、どんなものが書かれているのか。そんなことをとりとめもなく考えました。
「落葉」、ヴェルレーヌ、海潮音…懐かしい。文学少年だった頃を思い出します。見たことのない人の足跡に想いを馳せ、幻想に身を委ねる。とても文学的で味わい深い高尚な短編です。本に栞を挟んで、紅葉繁る古寺を散策してみたくなりました。あ、今なら本じゃなくスマホかな。途端に風流でなくなりました。読書の秋に、ぜひ読んでみてください。
作者様があらすじに書かれている通り、ヴェルレーヌの詩をモチーフにした作品です。とはいえ、物語は決して落葉の詩の通りには進みません。ヴェルレーヌの姿はすこしも見えない。それでも、秋の風が舞い上げた落葉の間に間に彼の悔恨と諦観の喘ぎを感じられるかもしれません。『海潮音』で落葉を美しい日本語に訳した上田敏さんは「逐語訳は必ずしも忠実訳ではない」といったことを書いておりました。作者、茶ヤマ様の解釈、私はとても素晴らしいと思いました。秋の夜におすすめしたい作品です。