ずっと、曇りガラスの向こう側から世界を見ている気がする。
古い家に生まれて、「私」という役を演じて、殴られて、逃げ出して、それでも笑ってきた。
これは、そんな「私」が、ちょっとこの間のことや、もう終わった昔のことを、なんとなく話してみるだけの作品集です。
一人称の告白体で書いた、同じ語り手による連作短編です。どの作品から読んでも大丈夫です。
いずれも小説として書いています。
収録作品
・それでも私は、自由に憧れる
古い家の「予備」として生まれた私が、それでも自由を夢見てしまう話。
・昔、乱暴された話とか。その後の話とか
家から逃げ出した先で起きた、もう終わった昔の話。
・私は友達の結婚を祝えない、人でなし
同じ息苦しさを知っていたはずの友人から、結婚を打ち明けられた日の話。
・汚い私と綺麗な妹
似ていないと言われ続けた妹と、私が、ようやく「お揃い」を見つけた話。
・私は、人間として欠陥製品なんじゃないか
家のために子を産むと決めた私が、自分の身体を一つずつ確かめる話。
・抱きしめないで、抱きしめて
誰かに頭をなでられた、最初で最後の記憶の話。
・どうか、お願いだから。かわいいなんて言わないで
墓場まで持っていくはずの秘密を、どこかへ流してみる話。
※コレクション「私と「いーちゃん」」と同じ語り手の物語です。あちらが幼馴染との関係を描いた連作であるのに対し、こちらは「私」自身を描いた連作です。
※収録作には、家庭内暴力、性暴力、自殺未遂、性的な表現などへの言及・描写が含まれます。作品ごとの注意書きもあわせてご確認のうえ、ご無理のない範囲でお読みください。
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