除霊する側だと思い込んでいた主人公が、実は除霊されるべき霊だったという逆転が楽しいショートショートでした。友人の頬に息を吹きかけながら「今回はなかなか手ごわいぞ」と言っている場面も、真相を知ってから読むと、友人がどれだけ迷惑していたのかが伝わってきて笑えます。高級ホテルのバイキングで元を取ろうと夢中になり、呼吸困難になったという死因も、主人公の俗っぽさが出ていて印象的です。何より好きなのは、最後の「お前、重いんだよ……」。普通なら霊に取り憑かれた友人が恐怖に震えるところを、長年の付き合いがある友人にうんざりされている。この気安さが作品のユーモアを支えています。怖い話の形を借りながら、最後は幽霊になっても迷惑をかけるなという、妙に身近な笑いに着地する一編でした。