このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(198文字)
悲痛な叫びだ。理想の母の背中を追い、教え通りに生きてきたはずの「正しい娘」。しかし、育児や夫婦関係の破綻に直面したとき、完璧だったはずの母の記憶は反転し、都合の悪い現実から逃げ続けてきた母の冷徹な本質が暴かれる。現実の残酷さと、親の愛が時に子を縛る歪んだ呪いとなる構造が、手紙という形式で鮮烈に表現されている。ラスト一行、狂気と切実さが入り混じる「起きて」の呼びかけに、読者は背筋が凍るような思いをするだろう。これは手紙の形を借りた非常に優れた「真理」サスペンスだ。