• マイページ
  • 小説を探す
  • ネクスト
  • 書籍化作品
KADOKAWA Group
  • ログイン
  • 新規登録(無料)
ドッグイヤー

ドッグイヤー

いつきち

おすすめレビュー

★で称える
★★★
★35
12人が評価しました
本文あり
日付が新しい順

本文ありのおすすめレビュー

  • ハマタハマオ
    143件の
    レビューを投稿
    ★★★ Excellent!!!

    折った角の先にあるものを、作者は決めずに手渡してくれる

    二十年暮らした家を出る日、古いカタログの束をくくる。角の折れたそのカタログから、ひとりの女性の時間がほどけていきます。

    なぜ家を出るのか、作中ではっきりとは語られません。別れなのか、見送りなのか、ただの住み替えなのか。読む人の世代や暮らしによって、いくらでも違う事情が見えてくるはずです。

    書き手はどうしても、自分の思う答えを読み手に渡したくなるものです。この作品はそれをしていません。解釈の幅をそっくり読者に預けて、そのうえで「また未来を思い描きはじめる」という芯だけは、どう読んでもぶれないように置いてある。手放す勇気と、手放しても崩れない確かさ。その両方があるから、読み終えたあとの余韻がこんなに深いのだと思います。

    短い話です。けれど、自分の部屋の押し入れにもこんなカタログが眠っていないか、ふと探したくなりました。

    • 2026年10月20日 16:33