三匹の子豚 Remix

 むかしむかし、3匹の子豚がお父さん豚と一緒に暮らしていました

 お母さん豚は、不幸な事故でとっくの昔に夜空のお星様になっていましたが、それでも親子4匹は毎日楽しくハッピーでアットホームなナイスファミリィでした

 しかし、その平和も長くは続きませんでした

 ある日、親子が住んでいる家の前をエナジィエンプティなロンリィウルフ(女装癖あり)が通り掛かってしまったのです

 ロンリィウルフ(大食い自慢)は、お腹のハングリータイマーが黄色から赤に変わり、あまつさえ点滅してしまっていました

 このタイマーが点滅を止めた時、彼は死んでしまうのです。頑張れロンリィウルフ!

 残された時間は後わずかしか無いのだ!!

(だからといって地球上でロンリィウルフでいられる時間がたったの3分というわけではない)

 その時、不幸にもナイスファミリィな豚の親子のお父さん(リヒトホーフェンに憧れる58歳)が(猟師に外科手術を受けたことがある)ロンリィウルフのレーダーレンジにインサイトしてしまったのです

 獰猛なおたけびをあげてデッドシックスから迫りくる(赤い頭巾を見かけると今だに古傷が痛む)ロンリィウルフ。あやうしお父さん(脂ののった58歳)!

 しかし、飼い慣らされた豚とはいえ、わずかに残った野生で危険を察知したお父さん(エリア88を全巻揃えた58歳)はすかさずバーナーオン!!

 チャフをまき散らして(ロリコンのケがある)ロンリィウルフの気を散らそうとしますが、さすがに肉食獣相手に野菜をぶちまけても効果はありません

 ロールシザースやインメルマンターン等の高等テクニックなども駆使しますがなかなかアウトレンジすることはできません。見る間に(老婆の物まねが得意な)ロンリィウルフが迫ってきます

 とうとうアットホームなファミリィが待つマイハウスにまでロンリィウルフは追い掛けて来てしまいました

 さいでりあコーティングが施されたマイハウスですから、ちょっとやそっとではロンリィウルフは中に入ってこれません

 お父さん(ファントム無頼を揃えようか思案中の58歳)は怯える子供達を集めてこう言いました

「おまえたち、ここは父ちゃんが食い止めるからおまえたちは今のうちに裏口からエスケイプするんだ」

「いやだよ、父ちゃん!」

 とうぜんながら、子供達は言う事を聞きません

「大丈夫だ、父ちゃんを信じろ。とにかくおまえたちは一刻も早くここから逃げるんだ

 おまえたちは父ちゃんの子供だろう?だったらそろそろ独り立ちしてビッグなピッグになるんだ

 そしてグレイトな家を建ててリンカーンコンチネンタルで父ちゃんを迎えに来てくれ

 それが父ちゃんの願いだ」

 さすがにそこまで言われては返す言葉がありません

 子供達は渋々納得してくれました

 そして3匹の子豚達はお父さん(毎日映画館にトップガンを観に通ったことがある58歳)とかたい指切りをして元気よく裏口から飛び出して行ったのです

 3匹のが無事に脱出していくのを見送ったお父さん(紅の豚に涙した58歳)は、奥の間の上座にどっかと腰をおろしました

「ふっふっふっ、これでも私は史上最高値で取引きされた茨城名産の黒豚の息子

 そう安々とお前に食われてやるわけにはゆかんのだ」

 天下のトーヨーサッシのドアに果敢に体当たりするロンリィウルフの唸り声をドア越しにききながら、お父さん(ヒコーキヲタクの58歳)は不敵に笑います

 ドア枠を打ち抜いてロンリィウルフがその凶悪な姿を現した時も、お父さん(実は高所恐怖症の58歳)は不敵に笑い続けていました

 草原の真ん中にポツンと建つ豚の親子の家にロンリィウルフが突入してから数分後、突如として発せられた

「かあちゃ〜ん!!」

 という叫び声は、誰の耳にも届きませんでした


 いっぽう、エスケイプした3匹の子豚はそれぞれが思い描くビッグな野望を胸に、無事な再会を約束してそれぞれの方角へ別れて行きました

 月日は流れ、お兄さん豚は藁の家を建てて毎日仕事に精を出していました

 お兄さんのビジョンは堅実でした

 粗末な家からスタートして、いつかは立派な大豪邸を建てようとしていたのです

 仕事も軌道に乗ったある日、お兄さんは弟達がどうしているのか訪ねていく事にしました

 最初に訪ねたのは上の弟の所でした

 上の弟は、木造の家を建てていました

 昔住んでいたような、さいでりあコーティングにトーヨーサッシの窓

 おまけにSECOMのセキュリティシステムと、なんとBSアンテナまで搭載したハイテクハウスがそこにはありました

 玄関にはぬかりなくNHKと国勢調査のステッカーが貼り付けられています

「オウ、なんてデリシャスなハウスだい!?

 おいらたまげて腰をイジェクトしちまったぜ!!」

「兄さん、たまげるのは勝手だけど、腰はイジェクトしないで抜かすだけにしておいたほうが健康にグーだぜ」

「そりゃそうだ、こいつは兄さん一本ゲットされてしまったよ

 はっはっはっ」

「はっはっはっ」

 ともかく、お互いの無事としばらくぶりの再会を祝って、二匹は越乃寒梅で乾杯しました

 上の弟は、しっかりした木造家屋で安定した収入を得て暮らしていました

 計画的な貯蓄で財産管理を行い、着実にお大尽を目指す上の弟もまた、堅実なビジョンの持ち主でした

「この調子なら下の弟もナイスにやっていそうだな」

「そうだね、もしかしたらもうすでにリンカーンコンチネンタルを手に入れているかもしれないね」

 などと和やかな一時を過ごした二匹は、上の弟が所有する中古のダットサントラックで下の弟を訪ねて行きました

 しかし、平和な一時はそう長続きしなかったのです

 荒野をブッ飛ばすダットサントラックは、不覚にもちょうどハングリィタイマーが黄色に変わったばかりの(大きな獲物は顎を外して丸呑みにする)ロンリィウルフの縄張りを侵犯してしまったのです

 スクランブルしてきたロンリィウルフは難無くダットサントラックをインサイト!

 セオリー通りにデッドシックスから急接近

 スリップストリームに入り込んでしまいました

「ヤバいよ兄ちゃん、完全に食らいつかれちゃったよ!」

「心配すんな、おいらのドラテクはセナ譲りだぜ!」

 言うなりパワードリフト!カウンターステアでブッシュをクリアーしつつ、小刻みにシフトチェンジ、フロントを浮かせてアクセルオン!!

「さすが兄ちゃんだ、でも日本人ならナカジマやアグリ、ウキョウを手本にしなきゃあ」

「はっはっはっ、相変わらず言う事がきついなあ、いよおし、ここでニトロだぁ!!」

「イヤッホイェーイ!!」

 ひとまず二匹はお兄さん豚の家に避難することにしました

「藁葺きだからって舐めちゃいけねえぞ、なんてったって魚沼産コシヒカリの藁を使ったスペシャルオーダーだぁ!」

「すげぇや、そこいらのコシの弱い稲とは月とタートルだね!」

 ガレージに飛び込んで三和シャッターを閉めたのも束の間、風速20m近い風が藁葺きの家屋に襲い掛かったのです

 外ではロンリィウルフ(独身歴33年)が激しく息を吹き掛けていましたが、まるで風洞実験でもやっているような強風です

 いくら魚沼産コシヒカリとはいえ、これにはひとたまりもありませんでした

 まさに根こそぎといった感じで、お兄さん豚ご自慢の藁葺きハウスが吹き飛んでしまいました

「こいつはヤバいぜ、おいらのスウィ〜トホウムが御覧の有様さ!」

 土台を残して跡形も無くなってしまった家の残骸を前に、お兄さん豚は呆然と立ち尽くすばかり

「兄ちゃん、とにかくここは逃げるんだ!でないとスウィ〜トホウムばかりか兄ちゃんまで大変なことになっちまうよ!!」

 二匹は慌ててダッツンに乗り込み、シートベルトをきっちり締めて、ホイールスピンも鮮やかにスタート

 獲物を獲り逃した事に気付いたロンリィウルフ(恋人募集中)は、慌ててチェイスを再開しました

「ひとまずおいらの家に行こう、ミサワホームがきっと守ってほしいくれるさ!」

 上の弟がそう提案すると、お兄さんもそれに同意しました

「藁葺きはさすがにケチりすぎたきらいがあるなあ、おいらもネクストタイムには木造家屋をビルドしよう」

 そうこうする間にも、ロンリィウルフは短距離ランナーの速度で追い掛けてきます

 スタミナ溢れるその走りは、世界を狙えるほどもあるでしょう

 オリンピックが人間しか出場できないのがとでも残念でなりません

「ヘイ、おいらのマイハウスが見えてきたぜ、オートリモコンのガレージシャッターが付いてるから乗ったままでもイッツオーケイさ!」

「さすが天下の三和シャッター!

 日本のテクノロジィに乾杯だね!!」

 しかし、天下の三和シャッターも、さいでりあコーティングも、ミサワホームも、SECOMのセキュリティも、(異性とお話した事がまるでない)ロンリィウルフのストームブレスにはひとたまりもありませんでした

「建更守り5型は狼の突風には効かないんですかぁ!?」

 上の弟が電話に質問した時には、ミサワホームは基礎を残して空の彼方へ消えてしまっていました

「あぁ、おいら達よりも先にマイハウスがスターになっちまったよ!

 こうなったら最後の希望を弟の家に託そう」

 DOCOMO(DDIはどうも苦手らしい)のスイッチを切りながら、二匹は一目散に下の弟の家へとダッツンをカッ飛ばすのでした

 草原をひた走るダッツンと、激しくそれをチェイスするロンリィウルフは、遠目に見るとまるでパリ・ダカのスペシャルステージでもやっているように見えましたが、実際これ程血生臭いパリ・ダカはあったもんじゃありません

「50m先で左250R!」

「45m!右380R!」

「あれはなんだ!?」

「プリメーラだ!」

「Waaaao!!」

 中古のダッツンと新型プリメーラでは勝負になりませんが(女日照りの)ロンリィウルフ相手なら引けは取りません

 ところが!

「オウ!ジーザス!!」

「どうした兄ちゃん!?」

 ガス欠でした

「この車はJAFに任せてとにかく急ごう!」

「ザッツライト!兄ちゃんナイスアイディア!!」

 ちょうど下の弟家が見えてきたところでしたので、二匹はそのまま車を置いてダッシュしました

 さすがは史上最高値で取り引きされた茨城名産黒豚の孫、走る姿にまで気品が感じられます

「ヘイ!元気にしてたかマイリトルブラザァ!

 おいら達はインディ・ジョーンズばりのアクションシーンの真っ只中さ!!」

 確かに、下の弟は元気にしていました

 しかも、ハンフリー・ボガート風にタンブラーを揺らしながら、葉巻を咥えていました

「やぁ兄さん達、そんなに息を切らせて飛び込んでくるなんて、よほどハードなアクションシーンだったんだね?」

 身振りの隅々に嫌味なほど気障な仕草を織り交ぜて余裕タップリに下の弟は聞いてきました

「あの父ちゃんの仇のにっくきロンリィウルフにばったりエンカウントしちまったもんで、おいらのダッツンで派手にチェイスしてきたんだ」

「日産車でカーチェイスなんて、一昔前の刑事物のファンが見たら涙物の事をやらかしてきたのかい?

 まぁとにかく、おいらのこの煉瓦造りの家があれば怖いものなし『鬼に金棒、ギャルに国家権力』てなもんさ」

「ははぁ、そいつは心強いな、それじゃあおいら達ものんびりリラックスさせてもらおう」

 それを聞いて安心したのか、お兄さん達はそれぞれソファにどっかり腰をおろしました

「これで玄関の鍵を閉め忘れていたら、それこそウェルカム!てな感じでロンリィウルフが上がってくるんだろうが、どっこい生きてるシャツの中(そういうアニメがありました)YKKのオートドアロックはそう簡単に壊せないだろうし、煉瓦造りのこの家なら吹き飛ばす事もまかりなるまいて!!」

 自信満々に胸を張る下の弟

 確かに煉瓦造りの家で、おまけにYKKのオートドアロックさえあれば怖いものなし、しかもアサンテの白蟻退治までクリアーしている弟の家には、作りかけという以外には全く弱点はありませんでした

 3匹の子豚達はそこで仲良く…


3匹の子豚 Remix


 …fin…

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三匹の子豚 Remix キ印工房 @kizirushi

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