不幸の手紙という、今では懐かしささえ感じる題材が、幼い子どもの切実な恐怖として描かれているのが印象的でした。分厚い電話帳を開いて必死に送り先を探す姿には、呪いを信じてしまった子どもならではの危うさがあります。特に心に残ったのは、父の「誰かを不幸にして平気な子だったなんて」という言葉。恐怖から逃れたいだけだったはずなのに、自分が誰かに同じ恐怖を押しつけようとしていた。その事実に気づく瞬間が胸に刺さりました。そして、手紙を破りながら「不幸の連鎖を止めた」と伝える父の言葉がいい。叱って終わるのではなく、正しい選択をしたことまで教えてくれるのです。最後に、傷つきそうなときも心の中で手紙を破るという描写が効いています。父の教えが、今も語り手の中で生き続けていることが伝わる、静かで温かな読後感でした。