仕事中に目にした、自分と同じ生年月日の女性の問診票。ささやかな引っかかりから、他人の暮らしへの執着が始まります。奈津子の心に浮かぶ比較や言い訳が身近な言葉で綴られているからこそ、踏み越えていく境界が怖い。淡々とした文章の中で、少しずつ不穏さが増していきます。他人と自分を比べてしまう心を、落ち着かない気持ちで見つめる作品です。