手紙というものに、人はうっかり騙されることがあると思うのです。
メールでは無く、電話でもなく、手紙。
印刷したものでもなく、手書きだと、尚更騙す力は強くなる。
昨今手紙と言うものが廃れてきているのは
相手に率直にすぐさま繋がれるからだと私は考えています。
策略もなく、思うままに発言してしまうことで
後で問題につながるケースは
個人の場合も、公の場合でも多いですよね。
だから少し考えて己の考えは発信しよう?
それで、手紙。
前置きが長くなりましたが、
熱量の多い中学生の手紙は
やはりどこまでも熱量が凄いのです。
どうしてそうなってしまったのかを
まず受け取り手側が悟るよりも先に
熱量がこちらの思考を鈍らせにくる。
ではその熱量の正体は?
なんとなく断れない向こうにある、
手紙の本来の目的とは?
読んだら「してやられた」感と、
「あー……こういうやつ、いた」感が
同時に味わえること間違いなし。
是非ご一読を。
そして手紙を書いてみようかなとか
うっかり思ってしまてください。
熱量多めのやつを。
中学一年生。友達の知之は、「みんなに幸せになってほしい」と言って、晴翔に協力をあおいできます。
しかし、その方法はどう考えてもみんなを幸せにできそうにはなくて――
知之がなぜそんなことを言い出したのかは、最後に明らかになります。
まず思ったことは「あ、いるわ。こういう人」でした。
おそらく、身近なところにも一人くらいはいるんじゃないでしょうか。特に人の上に立っている人間に多い印象があります。
身近にいなくても、ニュースを観ればたくさん見られます。
「他人を理解したつもりになることの恐ろしさを思い知る」とは概要欄の言葉。
他人を見定める自分の在り方を見つめ直すいいキッカケになるかもしれないので、ぜひ一読してみてください!
まずは第一話。
クラスの一軍男子知之が、晴翔に頼んできた話はとんでもない内容だった。
初めは抵抗する晴翔だったが、中学一年生とは思えない知之の詭弁に次第に洗脳されて行く晴翔。
晴翔の心の中の突っ込みがコミカルで楽しい。
幸せの反対は不幸ではないという、知之の論説は説得力を持って晴翔の心境に変化を齎す。
こんな詭弁を考えつく知之=SB亭さんすごい。
かくいう私も、そうかもしれないと感じて来たし!
そして第二話。
知之の思惑の真相を知った読者は、彼の本当の気持ち悪さをまざまざと見せつけられることになる。
気持ち悪い手紙。
ジャンルはホラーである。
確かに、ホラーそのものだと感じる気持ち悪さが残った。
それとともに、こんなぶっ飛んだ作品を、お題が発表されて2日目には書き上げることができるSB亭さんの才能に、いつもながら感服した。
晴翔のクラスメート、知之はクラスの人気者。そんな知之が晴翔に頼んだのは、なんと「アレ」を広めること! これで学校からイジメが無くなると知之は言うのだが……?
知之が晴翔を説得しようと言うことは、何がどう繋がったらそうなる? という奇妙なもの。でも、あまりのしつこさに「はい」なんて言ってしまったら……大変なことになってしまう。
一体何を考えているのか、知之の不気味さが怖いホラー。だが後半では意外な事実が判明し、知之の印象が変わる……かもしれないし、もっと不気味に思えるかもしれない。
知之の話を聞いて、あなたは自分の意志を貫くことができるだろうか。
ヤバい奴には色々な種類がある。
関わることで危険が及ぶ奴もいれば、話してるだけで電波が伝わって来るような奴。そして他にも、それら全ての想像の斜め上を行くような奴も。
主人公の晴翔はクラスメートの知之をそんな「ヤバい奴」だと認識する。
一軍男子とでもいうような一見「陽キャ」な彼だが、「みんなを幸せにするため」と言って「不幸の手紙」をなぜか配りたいと言い出す。
もう何を言ってんだと困惑する中も、彼は理路整然とその意義を説明し、晴翔に断れない雰囲気を作って外堀を埋めていく。
そんな「ヤバい奴」の利用され、仕方なく「手伝い」を始めた晴翔だったが……。
考えてることが理解できない。理屈をどんなに説明されても常人とは共有できる感覚がない。
とりあえず理屈が通じないし、人の話も聞いてくれなさそう。そんな奴を見れば、当然「ヤバい奴」だと思う。
前編までの段階で十分すぎるくらいに知之は「ヤバい」わけだが、後編で見えてくる景色を加味すると、更にまた違った「ヤバさ」が襲ってくる。
理解できるような感じがする。でも、理解したらしたで、そんな行動に踏み込んでしまった奴の心理が理解できない。
結局、普通の人間とは違った地平に立ってること以外は何もわからない。
「本当にヤバい奴」っていうのは、完全に近寄りがたい電波なんかじゃなく、「ある意味で共感できそうだったり理解できそうだったり」って「じっくり考えなければ」まともっぽい部分を持ってそうな奴なのかもしれない。
そんな「ヤバさ」の底の深さを感じさせてくれる作品でした。