最初は、過労死した幽霊が死後も元気に働いているという設定に笑ってしまいました。ところが、読み進めるほど笑えなくなってきます。疲労も給与も気にせず働く田中を、部長が嬉しそうに褒める。しかも本人たちは、それを何の疑問もなく受け入れているんですよね。新人たちが夢の中で二時間も指導され、泣いたり吐いたりしている描写で、さすがにぞっとしました。田中には悪意がなく、むしろ善意で後輩を育てようとしているのが厄介です。過労死してもなお働き続ける本人と、それを歓迎する会社。幽霊よりも、この価値観が当たり前になっている職場の方が怖い。三枝が何のために呼ばれたのかわからなくなる最後も、妙に納得してしまいました。