静かな海岸に流れ着いた一本の瓶。その中には、誰かに宛てた手紙と一つの指輪……。
そんなロマンチックな導入から始まりながら、読み進めるほどに「時間」と「家族」をめぐる本格的なSFへと姿を変えていく短編です。
主人公が求めているのは、まだ一度も会ったことのない父親です。
その手掛かりを追ううちに、過去と未来、そして自分自身の存在にまで関わる大きな謎へ踏み込んでいきます。
難しくなりがちなタイムリープものですが、とても読みやすく、短い物語の中で伏線が次々と繋がっていく気持ちよさがあります。
切なさ、驚き、そして少し不思議な幸福感まで味わえる構成も秀逸です。
読み終えたあと、きっともう一度冒頭の「瓶」と「指輪」を思い返したくなるはずです。
時間SFが好きな方はもちろん、家族の物語や、少し切ない恋物語がお好きな方にもぜひオススメしたい一作です!