第13話∶比較的平和な夏休みの1日
~8月下旬~
今年も猛暑で外に出ると熱中症になりそうな程暑い。
そんな中……
「夏休みまでよばないで!!」
あかねは叫ぶ。
「しかもあっちは寒いし、変態姉妹いるし」
あっちの世界とは真反対の為、戻って来た時は相当、熱で辛い………
が、それ以上に辛いのが変態姉妹だった。
「あら、かわいい2人じゃんあかねには及ばないけど、何かな?おちゃめなんだよね?」
「どこが!?」
続けてあかねは
「それに前、会って以降、ピンチの数が更に増えてるわよ?宿題する暇ないじゃん!?」
「仕方ないでしょ?あなたのせいで2人の姉妹やる気があるのか?無いのか?状態。デートしたくないのかしらね?」
「嗚呼、もうその話は辞めて!!」
そこで暑さにやられたあかねはとんでもない提案をミレアにする。
「ねぇ…ミレアぁ…あなた金持ちでしょ?職安で魔王倒し募集って出したら?」
ところがどっこい
実は既にーー
ミレアは以前、あかねを異次元へ呼び出す仕事を減らすため、とんでもないことを考えていたのだが…
「そうだ! 人を雇えばいいんだ!」
そしてあっさり向かった先は――職安。
「すみませーん!」
受付で、ミレアは元気よく求人票を差し出した。
「この求人、お願いします!」
職員は求人票に目を通す。
『職種:異次元・魔王討伐要員』
『勤務地:異次元』
『仕事内容:魔王および魔王軍の討伐』
『必要資格:特になし』
『給与:討伐内容に応じて応相談。危険手当あり。』
『アットホームな職場です。』
職員の顔が、みるみる険しくなる。
「……」
「どうですか?」
「お引き取りください」
「え?」
「ふざけるな」
「ええっ!?」
「異次元だの魔王討伐だの、そんな求人を職安に持ってこないでください!」
「でも、本当にある仕事なんですよ?」
「知りません!」
「神様なんですけど……」
「だから何ですか!」
ミレアは求人票を抱えたまま、しょんぼりと職安を後にした。
「……人間界って、求人にも厳しいのね」
こうして――
ミレアの計画は、あっさり失敗した。
そして結局。
「やっぱり、あかねちゃんにお願いするしかないわね♪」
「なんでよ!!」
(てかもうやってたとは……)
呆れるあかね。
「ところでさぁ……
毎度、私を呼び出した後、何で居残るのよ?」
「金融のチェック。だって金融って常に秒単位で動くのよ?チェックしないと!!」
「だからって私の部屋でやんなくて良いでしょ!?」
理由がわからん神のせいであかねの怒りは頂点を超える。
「あー……ムカつく、ちょっと外出る!!」
「どこ行くの?」
「バッティングセンター」
あかねとミレアはバッティングセンターへ向かった。
最近は、何かと騒がしい。
告白にゲームに魔王討伐。
そして、勝手に自分の部屋へ入り浸る女神。
~もう、全部まとめてぶっ飛ばしたい~
あかねはバットを握る。
そして――
ピッチングマシンから放たれたボールを打ち返す。
カキィィン!!
強烈な打球がネットに突き刺さる。
カキィン!
カキィン!
カキィィン!!
次々と飛んでくるボールを、あかねは軽々と打ち返していく。
「ふぅ……ちょっとスッキリした」
あかねにとっては、ただのストレス発散。
しかし――
本人は気づいていなかった。
殴るスピードとキレと威力
そして、迫ってくる物体への反応速度。
それを知らないうちに鍛えられていることを。
しかも、あかね本人には――
「バッティングセンターって、意外とストレス発散になるのね」
それが修行になっているという自覚は、まったくなかった。
その様子を、少し離れた場所から見ていたミレアだけが知っていた。
「……あかねちゃん、また強くなってる」
女神は、嬉しそうに笑った。
「そうだ!!あかねちゃん!!今日は表参道にできたカフェ行きましょう?和尚さんもう完成させたから。」
「嘘………あの人すげぇ……」
激戦区の表参道でもうカフェを作り上げた事に驚いた。
その日の夜はもう一回あっちの世界にピンチで呼ばれ、この日はいつもの様に騒がしく終わるのであった……
つづく
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