調査報告書、聴取記録、音声反訳、診療録。異常を記録し、事実を固定するための書式が、読み進めるほど壊れていきます。
「残留者なし。再点呼に対する応答七名分あり」。公文書が、ありえないことを淡々と認めてしまう。
文字は記号に侵され、登録数は合わなくなり、記録する側の文章まで途切れはじめます。
そして驚いたのが、本文の外に画像資料が用意されていることです。
FILE 003では、超音波検査報告書や新生児記録票を、資料庫のビューアで一枚ずつ拡大して見られます。
本文で読んだ「記録」が、実際の紙面として目の前に出てくる。空欄のままの記録票を見たとき、文章で読んだときとは別の寒気がきました。
「各事案の関連性は、現時点では確認されていません」。この一文が、いちばん期待させてくれます。