私は、SFを読むのが趣味のモロの君である。
気まぐれに本作を手に取り、作品概要に目を通した時は「ふ。『火星の人』が『火星のアンドロイド』に変わっただけではないか」と思っていた。
だが、アンドロイドのヒパティアには「人間臭さ」が宿っており、博士にとっては紛れもない「娘」。この二人の絆が本作の物語を支えており、「これは……萌える」と、いつの間にか感情移入してしまった。
エドウィン博士の境遇が、人間の子であるサンを山犬として育てた私の境遇とリンクし、不覚にも胸を突かれてしまったのだ。
博士が通信越しに告げた「わからない。だが、必ず助ける」の言葉には、反射的に「ハッハッハ、どうやって助けるというのだ。サンと共に人間共と戦うか?」と笑いかけたが、「あ、言ったのは私と似た境遇の博士であったか……」とセルフツッコみも入れてしまった。
まったく、ヒパティアめ。博士に会えぬ寂しさを嘆く、愚かで醜く可愛い、我が娘。……あ、博士の娘であったか(セルフツッコみ二回目)
一万字という短さで本格設定のSFを読みやすくまとめた作者の筆力も見事。少しは話の分かる乙事主よりも分かりやすく、最後まで没頭して物語を楽しむことができたぞ。
私は獣だが、心は動いた。この作品は読む価値がある、それだけだ。