第一話を読みました。面白かったのでレビューを書かせてもらいます。
冒頭から「影が薄すぎて、勇者と魔王の決戦を目の前で見ていても存在を認識されない邪神」という設定が強烈で、思わず笑ってしまいました。億を超える年月を生きながら、邪神同士の大戦にすら誘われず、本人も引きこもっていたという経歴が、悲しいはずなのに妙にコミカルです。大きな世界の歴史から完全に置いていかれている主人公の立ち位置が面白かったです。
そんな主人公が転生を決意した理由が「来世では友達が欲しい」というのも印象的でした。圧倒的な力を持つ邪神なのに、望んでいるのは一緒にご飯を食べるような、ごく普通の人間関係。この願いから、今度こそ普通の人生を送りたいのだと伝わってきます。
ところが転生直後から、本人の意思とは関係なく「邪神の呪いを持つ忌み子」として扱われてしまう展開には驚きました。しかも赤子の姿で普通に会話し、さらに身体を成長させ、魔法まで使える。転生したことで弱くなるどころか、周囲からすればとんでもない存在になっているのが面白いです。
特に笑ったのが、クシャミの扱いです。前世では魔王と勇者に気づかれなかったのに、今世ではクシャミの風圧だけで相手を吹き飛ばしてしまう。「認識される」という、本人にとってはささやかな喜びが、とんでもない形で実現しているのがこの主人公らしいと思いました。
ただ、本人は自分が強すぎることにあまり自覚がなく、人間の生活についてもほとんど知らない様子です。「人間って何を食べるんだ……?」と考えながら外へ出ていく最後も、この先どんな騒動を起こすのか期待させられました。友達が欲しいという願いを持った邪神が、今度こそ人間社会で普通に生きられるのか。本人の認識と周囲の評価の差が、これからどう物語を動かすのか楽しみな第一話でした。