第一話を読みました。面白かったのでレビューを書かせてもらいます。
冒頭から「幼なじみはいずれ生きたまま焼かれる」という衝撃的な一文があり、物語の目的が一気に伝わってくる第一話でした。主人公シオンがエレナを救うために、あえて自分から「光の道」を捨て、泥のような場所へ進もうとする構図がとても印象的です。
特に良かったのは、シオンが単純に強い主人公ではないところです。他人の魔法の構造や殺意まで読み取れる能力は非常に強力ですが、使うたびに自分の記憶や感覚を失っていくという大きな代償があります。退役兵の名前すら思い出せなくなっていた場面から、その力が決して便利なだけの能力ではないことが伝わりました。
エレナとの別れも印象に残ります。彼女から見れば、シオンは突然自分を置いて別の道を選んだようにしか見えません。しかし読者には、彼がエレナを救うためにその道を選んだことが分かっている。この「本当の理由を言えない主人公」と「事情を知らず傷つく幼なじみ」のすれ違いが切なかったです。
また、養母との食卓の場面も好きでした。大げさな励ましではなく、「たまには手紙をよこしな。生きてるってわかるように」という言葉だけで、シオンを大切に思っていることが伝わってきます。
最後に、シオンが「泥犬になる」と決意することで、彼がこれからどんな生き方をするのかがはっきり見えてきました。自分自身を削りながら、それでもエレナの未来だけは守ろうとする少年が、剣術学校で何を学び、どこまで強くなっていくのか。そして能力の代償によって、彼自身が何を失ってしまうのか。重く切ない設定だからこそ、続きが非常に気になる第一話でした。