第18話
「へぇ」
たまにグラスの中身を口にしながら相槌を打ってくれる黒澤さんに話が止まらなくなった美月は、嬉しそうに再び語り始めた。
「友達ってこんなに素敵なものなんですね。私、嬉しすぎて少し泣きそうになりました。本当に感動して…まさか友達ができるだなんて思わなくて…」
「良かったな」
「あ、プリクラ撮ったんです。見ていただけますか?」
財布からプリクラを取り出して、グイッと彼に近付き、それを見せた。
「加工されてるんですけど、綺麗に撮れるんです」
「女は好きそうだな」
「はい。撮ってる時もワクワクして凄く楽しかったです。記念になりました」
無意識に彼に近寄ったけれど、今になってその近さに緊張感が増してきた。
本当にかっこいい方。
気を紛らわせようと、再び口を開く美月。
「あ、プリクラ、いろんな所に貼ろうと思ってるんですけど、黒澤さん一枚いりますか?」
焦った末にプリクラをプレゼントしようとする自分がアホらしく感じた。
返事がなくて不安に思っていると、楽しそうに口角を上げている黒澤さんと目が合う。
「い、いらないですよね」
「なんで?」
「だって…私のなんて」
「可愛いから貰うわ」
「え?」
普通に可愛いとか綺麗だとか言ってくるけど、やっぱり女性慣れしてるのかな。
そりゃあ女性は彼を放っておかないとは思うけど。
「じゃあこれを」
「さんきゅ。良かったな。友達できて」
頭をふわりと優しく撫でられて、彼を見上げると、色っぽい瞳を柔らかく細めて微笑んでいた。
ああ、また心臓がドキドキする。
私は顔が紅潮するのを感じて、体の向きを変えて誤魔化すように彼に質問し始めた。
「黒澤さんも、神流会組長のご子息ですよね。友達作りに苦労とかされませんでした?」
「俺は結構ヤンチャだったから、そういう類の友達はいたな」
「そうなんですね。羨ましいです」
会話がここで途切れる。
なんだか髪に違和感を感じて振り返ると、彼が私の髪を手に絡ませて弄っていた。
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