異世界で一年を過ごしてきた少年が、過去の自分を呼び出す能力を使い、死の理由を探ろうとする。そこで明かされるのは、友人による殺害という残酷な事実だけでなく、時系列のどこかで生き延びている“別の俺”たちの存在だ。怪我を負った俺、記憶を失った俺、学校に通う俺――積み重ねたはずの人生が枝分かれし、主人公自身の正体が揺らぎ始める。異世界転生のはずが、いつの間にか“自分とは何か”を問う物語へ変わっていく展開が面白い。過去の自分との対話が、静かに不気味さを増していく一作。