日本にお住まいならば
恐らく大抵の人が聞いたことがある、
そう「おとぎばなし」。
昔話や童話とは違うそれは、
「大人が子供に話す物語」と同じく
「空想で現実離れした話」の意味合いもあります。
もしも社会科見学で訪れた工場が
実はなんかこう、
近代的なモノではない何かの力で
実は動いていたとしたら?
大人が介入すれば
これすなわち事件となるのですが
今作は全て子供の目線で話されています。
御伽噺は誰のために語られるものか。
ともすれば「壮大な復讐劇」へと
転がりそうな内容ではあるのに
決してそうならないのは
まさに「おとぎばなし」が軸にあるからだと
私は感じました。
なんだかホッコリ、ウフフと思える素敵な話。
是非ご一読を。
オートメーション化された「織物」の工場。
そこで迷子になってしまった方向音痴の主人公。そこで聞こえてくる「助けて」という謎の声。
そして声に耳を傾けてみると……。
本作は有名な「あの昔話」の「IF」な世界線が描かれているところが魅力的でした。
あのエピソードの中では「とある禁忌」を破った瞬間に関係はご破算。「だから言ったのに」というオチで終わります。
でも、もしもその話の主人公が「思った以上にこずるい奴」だったら?
そのIFの通りなら、昔話は昔の話で終わらず、現代に至って文明の進歩まで組み込むものになっていたかもしれない。
そうして方向音痴な主人公がその真実に辿り着き、「物語の更なる先」を創り出していく展開がとても面白かったです。
昔話は過去の時代を描くものだけれど、もしも「その時」に綺麗に終わらなければ、現代にまで辿り着くこともある。
本作はそんな「IF」な昔話アレンジの楽しさを味わわせてくれたのが秀逸でした。