かつて、耳のない猫というのがいた。
彼の色は青く、丸いフォルムをしていて、どういう理由かどら焼きが好きで、
腹部のポケットからいろいろな品物を出す。
彼は、お世辞にも賢いとは言えず、怠惰で、すぐ泣く日本人のステレオタイプみたいな少年の『友達』として、数十年、彼を現役で支え続けている。
しかし彼が生まれ、世に出たのはもう、五十年近くも前。
SFのことを「すこし、ふしぎ」と訳した人間によって生み出された。
本書は、AIと人間の絆を書いたものであるが、読んでいて思い出したのが例の猫型ロボットだった。
そして、五十年前、かの先生が想像したロボットが、現実味を帯びてくる世界線にようやく立っていることを実感するのである。
宮本先生とも、間も無く二年ほどの付き合いになる。
出会った頃から『理系』を自称されている先生なので、今回のテーマ『機械』は得意だったのではないだろうか。
……この先生が自分のことを『理系』と呼ぶたびに、あなたほど『文系』の方いないよ……。と言いたくなる自分がいる。
おそらくドライに見せているのはこの先生なりの演技で、実は繊細で共感性が高い方なのだと思う。
そういう先生の描く、絆の物語。
ご一読を。