少女とぬいぐるみが過ごす、穏やかで優しい日常。
毎朝「おはよう」と声をかけ、一緒に過ごし、夜には抱きしめて眠る。
そんな温かな関係を描いた物語だと思っていました。
けれど、物語の終盤でその印象が一変します。
少女だと思っていた彼女の正体。
そして、何もできないぬいぐるみである「僕」が抱え続けていたもの。
特に「これで、何人目の彼女だろうか。」という一文には驚かされました。
それまで読んできた優しい日常が、この瞬間からまったく違う意味を持ち始めます。
何度新しい彼女が現れても、彼だけは前の彼女との時間を忘れられない。
だからこそ、最後の「僕の綿に刻まれた感情もリセットしてくれないだろうか」という願いがとても切ないです。
冒頭と最後で、同じ「おはよう」という言葉の響きまで変わって感じられる物語でした。
温かさと切なさ、そして少しの怖さが残る、印象的な作品です。