雨の話、仕事の愚痴、そして大好きな男との暮らし。
どこか歪んではいるものの、最初は一人の女性が過去の恋愛について語っているように読んでいました。
ところが、語りが進むにつれて少しずつ違和感が膨らんでいきます。
特に印象に残ったのが、繰り返される「祈った」という言葉。
本人にとっては純粋な愛の願いなのかもしれない。
でも読んでいる側には、だんだん別のものに見えてくる。そのズレがなんとも不気味です。
**愛しているから、ずっと一緒にいたい。
その願いがどこへ辿り着くのか。
最後まで読んだとき、冒頭の「冬虫夏草」という言葉まで恐ろしくなるホラーでした。**
蝉に寄生するキノコの一種で、漢方薬として使用されたりもするらしいですね。
で、この手の寄生する動植物の中には、宿主の脳神経を操って、自分の都合のいいように支配してしまうやつもいるんですよね。
カマキリに寄生するハリガネムシが有名でしょうか。
これもまた自然の摂理、ではあるのですが、倫理観の欠片も感じさせない惨たらしさには、生理的嫌悪をもよします。
そして、おぞましい話ではありますが、なにかこう……邪悪で怪しい魅力も感じずにはいられませんね。
本作は、そんな寄生虫……もとい、ヒモ男を養っていた、とある女性の独り言です。
ヒモ男を養うくらいに愛していた、故のやり場のない感情の行く末。
寄生する側・される側の迎えた結末を、容赦ない表現で書き綴った怪作、ぜひご一読ください。