北海道の小さな町にある銭湯「ふじの湯」。そこで三助として働くかなめと、旅するペンキ絵師・涼の恋のお話です。
よく食べ、よく笑い、かなめを振り回す涼。二人のやり取りが楽しくて読み進めるうちに、その明るさの奥にある痛みや、不器用なかなめの愛情に胸をつかまれました。
好きだったのは、お互いの仕事に向けるまなざしです。涼の絵を大切にするかなめと、かなめがお客さんに接する姿に心を動かされる涼。二人が相手を好きになる理由が、日々の振る舞いから伝わってきます。
雪道の寒さ、銭湯の温かさ、食堂のご飯にコーヒー。そんな暮らしの手触りと、二人を見守る町の人たちも心に残りました。
離れて過ごす時間があっても、帰ったらご飯を作って待っていてくれる人がいる。その嬉しさを、二人と一緒に味わえる物語です。