面白かったのは、判断しているようで、署名しているだけだと分かっていく過程です。2041年、交通はミチビキが回し、異常はドクターが診断し、その診断はミハリが見て、整合はテンビンが監査する。人間の最終判断員に残る仕事は、推奨されたボタンを押すことだけです。制動力低下の警告が出ても、各AIは「正常、運行継続」で揃う。止めて外れれば不合理な停止として説明を求められ、押して事故が起きれば「最終判断はあなた」と返される。どちらに転んでも人が残る、という構図がはっきりしていました。
良かったのは、会議室の反復です。「しかし最終判断をしたのはあなたです」が、根拠を述べるたびに同じ文で返ってくる。研修は三時間、うち動画が一時間二十分、確認テストは間違えるとAIが正解を教える。資格としては足りていて、中身としては足りない。事故後に入る最終判断支援AIも、結局は承認を推奨して「最終判断は人間が行います」と表示するだけで、改善が同じ穴の補強になっているのが効いていました。