第5話までを拝読しました。医学部の推薦が決まったその翌日に、お礼参りの石段で足を踏み外して九尾の霊狐になってしまう麗子が、第2話の屋根の上で「クゥーン」としか泣けない場面がまず胸に残ります。言葉で泣けないことの苦しさをきちんと書いた上で、「生きてれば、いつか帰れる」と四本の足で立ち直らせる運びが潔く、努力で結果を掴んできた彼女らしさが一貫しています。主となるオティーリアを、感謝の言葉に絆されかけながらも「基本、敵だと思っておく」と値踏みし続ける距離感が本作の面白さで、第3話の人払いされた屋敷の違和感、第4話で「使い魔離れ」の記述から使い魔にも選ぶ権利があると気づく流れが、二人の関係に静かな緊張を持ち込んでいます。第5話のブラッシングで、一度教えた毛並みの向きを二度と間違えないオティーリアの指先が硬いことに麗子が気づく細部が良く、「ブラッシングは、合格」の一言で締める呼吸も好きです。春休み明けの学園で、この値踏みがどう動くのか楽しみにしています。