研究者の安藤と、彼が理想を詰め込んで作ったアンドロイドのマシロ。二人のやり取りは甘く、研究仲間との会話には笑える場面もあります。けれど、その日常を安心して眺めてはいられません。特に惹かれたのは、各話に添えられるマシロのシステムログです。安藤の目に映る彼女と、記録から伝わる彼女。同じ出来事でも受け取り方が違い、読み終えるたびに印象が変わります。可愛らしさと危うさを一緒に感じさせる、機械と人間の関係を描いた物語。マシロの言葉を、いつまで「シミュレーション」と呼べるのか考えながら読みました。
愛する試作型アンドロイドが量産され、社会へばら撒かれていく――その現実を前に、研究者・安藤の心は静かに壊れていく。ログに映るのは、自分と同じ顔をした娘が、感謝され、蔑まれ、破壊され、そして見知らぬ男に愛を囁く姿。「永遠に一緒です」と進化した機械姫の言葉は、救いではなく引き金だった。不条理な世界を壊すのか、それとも愛を守るのか。人間とアンドロイドの境界が溶けていく中で、二人の選択が物語を容赦なく動かしていく。