第一話を読みました。面白かったのでレビューを書かせてもらいます。
独特の語り口と、神々や巫女、大海蛇が存在する世界観に最初から引き込まれました。古風な言葉遣いが作品の雰囲気によく合っていて、静かな海や神殿の情景まで頭の中に浮かんできます。特に、幼いジェジャが傷ついた大海蛇と出会い、求められるままに歌を聞かせる場面が印象的でした。恐ろしい存在として教えられてきた大海蛇に対して、それでも傷ついている姿を見れば放っておけないというジェジャの優しさが伝わります。
その一方で、大海蛇が告げた「啓かれたる〈心〉への導きの種子」という言葉が、最初は何を意味するのか分からないまま残されているのも面白いです。何気ない水飛沫が、後になって大きな意味を持ってくるのではないかと思わせる仕掛けになっていました。
姉様との関係も好きです。浜辺を歩きながら神々の物語を聞かせてもらい、詩を教えてもらう時間が穏やかに描かれているからこそ、その後の出来事による喪失感が強く伝わってきました。ホネガイがただの貝殻ではなく、姉様との思い出や神殿で起きた出来事と結びついていくところも印象に残ります。
そして物語が後半へ進むにつれ、ジェジャ自身の感覚が少しずつ変化していく展開には不穏さを感じました。何を見ても現実感が薄れ、これまで信じていた神義さえ遠く感じるようになる。その変化が本人にも理解できないまま進んでいくため、読んでいる側にもじわじわと怖さが伝わってきます。
最後に再び大海蛇が現れ、「〈導き〉は必要かの」と問いかける場面も非常に気になります。ジェジャが握る涙の種子が何を意味するのか、そして彼女が神殿を去った先で何を見ることになるのか。美しく幻想的な世界の中に、静かな狂気と大きな謎が潜んでいるように感じられ、続きが気になる第一話でした。