ハムスター雑技団の「僕」は鈍臭くて協調性も無い落ちこぼれ。「月額990円の神様」即ちサポーターもいない。このままでは恐ろしいオーナーによって処分されてしまう。
そんな「僕」だったが、奇妙な黒ずくめの女性が現れて……?
雑技団のハムスターたちは、人間の都合で芸をさせられ、人間が好む結果を出せなければ処分されるという、実に不条理な世界で生きている。
私たちも、他人の都合で動かなければならないことがある。
自分らしさなど無視して、他人が望むように振る舞わなければならないことがある。
だから「僕」に自分の姿を重ねて、切なくなってしまうかもしれない。
果たして、謎の女性は「僕」に何をもたらすのか。
自分らしく生きたいと思う全ての人へ、おすすめいたします。
姿を想像すると、とにかく健気であたたかくて主人公のことを応援したくなります。
ハムスター雑技団として、必死に「芸」を披露させられる主人公。
しかし鈍臭さもあって、「月額990円」をかけて自分を応援してくれる「神様」が出てきてくれない。
このままいけば不要なものとして殺処分されてしまう。
そんな焦りを覚える中で、そんな主人公に目を留めてくれる存在が現れて……。
990円がつくかどうか。芸がうまくできるかどうか。
それはあくまでも「小さな檻の中の価値観」に過ぎない。
世の中にはもっといろいろな価値観もあるし、誰かの価値なんてどこかの小さな世界の中だけで決まるものじゃない。
ただそこにいるだけで十分だし、頑張っているその姿だけでも見る人を癒すことだってできる。
ほんの少しの見方を変えれば、「本当に尊いもの」はきっと見つかる。
これは、世間の流行とか社会のシステムとかにも同じことが言えるかもしれない。
流行しているもの、売れているものが絶対的に「いいもの」かというとそうでもない。逆に忘れられて日の当たらないものにも自分の心を震わせてくれるものもたくさんある。
そんな「尊さ」や「本当の価値」についても考えさせてくれる素敵な作品でした。
ハムスター雑技団の中でも鈍臭くて協調性もない僕。
月額990円はハムスターが食べていくために必要な最低限の出費。
それに合わせた諸経費をオーナーは毎月支払い、半年毎に生殺与奪の判定を行っては使えない団員を排除していました。
そんないつ消されてもおかしくないギリギリの状態で僕は食い繋いでいました。
生き残るには新技やコンピネーションを習得して神様たちのサポートを受けることが条件。
僕は頑張っても仲間たちと息が合わず、中々うまくいきません。
挙げ句の果てに、焦る自分の気持ちが逸って仲間とのペースを乱し、稼ぎ頭の仲間に怪我をさせてしまう事態に。
これにオーナーは激怒。
殺処分の恐怖が頭をよぎります。
月額990円の神様さえも稼げない落ちこぼれの僕。
技を習得していく優しい仲間たち。
神様の付かない僕を憐れんで、おこぼれをくれて、今まで食い繋いで生かしてくれたけど、今度ばかりは、もう……
僕はこの後、どうなってしまうのでしょうか。
救済の光か、それとも処分という永遠の闇か。
ハムスターたちが織り成す世界――私たち人間が生きる社会の縮図を表す強烈なメタファーとして心に深く刻まれます。
わずか2000文字足らずの短いお話ですが、味わい深く心が温められること間違いなしです。
ぜひ目を通してみてください。