「月」というひとつの題材から、こんなにも違った物語が生まれるのだなと思いました。
離ればなれの大切な人を想い、同じ月を見ていることで心を通わせる。
「月が綺麗だね」の意味にも気づかず月見酒を楽しむ相手を、愛おしく見つめる。
月のウサギがこっそり月見団子を食べ、お礼にお餅を残していく。
そして第4話では、ついに月の世界から人が降りてきます。
かつてこの世界で暮らしていたのに、月へ帰るときに記憶を失ってしまった女性。
それでも地上を忘れきれず、ときどき降りてくるという設定が、どこか切なくて幻想的でした。
別れ際に名前すら聞いていなかったことに気づき、「また会えるかな?」と月を見上げる。
その終わり方もとても好きです。
恋しい人を想う月、好きな人と眺める月、ウサギが降りてくる月、そして誰かがこちらを見つめている月。
夜空に浮かぶ同じ月なのに、見上げるたびに違った物語が待っている。
優しく、時には可愛らしく、少し不思議な月の世界を楽しめる作品集です🌙