第一話を読みました。面白かったのでレビューを書かせてもらいます。
冒頭から強烈な雨の描写で始まり、主人公が抱えている深い絶望が、天候そのものと重なるように描かれているのが印象的でした。激しい雨、冷え切った身体、重くなった服、濁った視界など、周囲の状況を細かく描くことで、主人公がどれほど追い詰められているのかが伝わってきます。
特に気になったのが、主人公自身についての情報が非常に少ないことです。全健忘や重度の解離性健忘という言葉が出てくるものの、なぜそこまで絶望しているのか、これまでどんな人生を送ってきたのかはほとんど明かされません。そのため、「僕はいらない存在」という言葉にも、まだ読者が知らない大きな背景が隠されているように感じました。
そして終盤、湖へ落ちた主人公が見た美しい景色と、最後に一瞬だけ現れる「緑色の目をした少女」が強く印象に残ります。ここまで絶望に満ちた場面が続いていたからこそ、最後に少女が登場することで、一気に物語の方向性が分からなくなりました。現実の出来事なのか、それとも主人公が最後に見た幻なのか。そもそも、この少女は何者なのかが非常に気になります。
また、作品冒頭で「前編の序章として重要な話になる」と示されていることもあり、この第一話だけではまだ全体像を掴ませない構成なのだと思います。設定や人物が今後増えていくことを考えると、長編ならではの複雑な物語になっていきそうです。
絶望の中で終わったように見える主人公の人生が、緑色の瞳の少女との出会いによってどう変化していくのか。次の話で何が待っているのか、続きを読みたくなる第一話でした。