最初は「そんな仕事、誰でもできますよ」と言い切る高橋さんに、かなり腹が立ちます。だからこそ森さんの「では、辞めます」が気持ちいい。ところが森さんが辞めても、最初は会社が普通に回る。そこから少しずつクレームが増え、最後に取引先から「問題になる前に、なくしてくれてたんですね」と言われた瞬間、森さんが十年間積み重ねてきたものが一気につながります。最後の「今日も、大きな問題は何も起きなかった。それでいい。」まで読むと、冒頭の「誰でもできる」というセリフが、コスパとタイパ一辺倒の現代社会に強烈に刺さる痛快な作品です。