私は、君の笑顔が見たい

永久の夢P

第1話 あの頃から

私は、君の笑顔を見るために、生まれてきたんだとそう思う。

 でもそれは、君の笑顔を見たいがために、私はいろんな手段を使っていた。


 ー私は君の笑顔を、一番の特等席で見ていたいー


健人「違うって、それ俺のアイス!」

 彼の名前は竹山 健人(たけやま けんと)。

私と保育園からの幼馴染だ。

あゆみ「健人のアイスいっただきまーす!」

健人「ちょ!」

 『ふふっ』と優しく微笑む健人。

私はその健人の顔を見るのが、何よりも大好きだ。

 高校一年のとある日常を、『青春』と呼ぶならこの日常は、『ラブコメ』と呼んだほうが都合がいい。


 ー健人はまだ知らない、私の心の中は知るはずもない。

         私が、健人の事を好きになるまでのその過程をー

 三年前


 担任「ほら席につけ!健人、またお前か!」

 健人「さーせん」

 そう言いながら健人はしぶしぶ自分の席についた。

  私は保育園の頃から健人のことが好きで、小学校を卒業して中学に入学した今でも片思いをしている。


 『告白はしないの?』

 『それ、後悔しない?』


 周りの人達によく言われた言葉だ。

 私は後悔なんかしたくない、したくないけど『好き』って言う気持ちを伝えてこの関係が崩れてしまうなら、一方通行の片思いでも構わない、と思っている。


 健人「あゆみ」

 あゆみ「どうしたの?」

 健人「お前、眠たそうな顔をしてどうしたんだ?」

 あゆみ「昨日ゲームをしてて…」

 『本当は健人のことを考えていたよ』なんて、言えたら良いのになぁ。

  でも付き合ってないし、言ったところで引かれてしまう。

私は、自分の気持ちを伝えるのが怖い。

 昔の、『あの時』のように。


ー伊東家ー

母親「あゆみ!またテストの点数が悪かったんだって?」

父親「まぁいいじゃないか、あゆみもバイトで疲れているんだろう」

あゆみ「違うよこれは……」

母親「また言い訳ばっかり!少しは反省しているの!?」

いつもこうだ、自分の気持ちを伝えようとすればするほど、母親の態度は悪くなる。

父親は、毎回黙ったままで、私の話を聞こうとしなかった。

 『ピロン』

その時、チャット機能アプリRIME通知音がした。

健人『あゆみ』

あゆみ『どうしたの?』

 健人からだ。

 健人は覗き穴でも見ているんじゃないかって言うくらい、いつもタイミングが良い。

健人『どーせテストの点数悪かったんだろ?』

あゆみ『怒られちゃった』


 健人なら、私の気持ちを伝えても怒らないかな...?

 健人なら、私の気持ちを理解してくれるのかな...?

 健人なら…。


気がつけば、健人の事ばかり考えていた。

昔から誰かと比べる癖は直らないし、一度癖が付くと中々直るものではない。


健人『まぁ、元気出せよ、明日一緒に学校行こうぜ』

あゆみ『私は元気だよ、ありがとう。』

そうトークを健人に送信して、私は携帯の電源ボタンを押した。


『健人……』


私は健人の事、どれくらい好きなのだろうか。


『告白はしないの?』

『それ、後悔しない?』


……うるさい。


『それなら私、健人くんに告白しちゃおうかな』


…うるさいうるさい!

もう何もかもうるさい!


過去に言われた言葉が、脳裏で響く。

こんな過去、うんざりだ。

声を殺して泣きじゃくった私は、そのまま眠りについた。


翌朝携帯を見ると、健人からRIMEが届いていた。


健人『おはよう、いつもの場所で待ってるから』

あゆみ『おはよう、準備していくね』

トークを終えて、私は着替えを済ませて、健人がいる待ち合わせの場所に向かった。


あゆみ「おまたせ」

健人「おっそ!てか、目腫れてるけど大丈夫か?」


昨日、少し泣いていたところが腫れている。

 健人に言われなきゃ、気が付かなかった。

 好きな人の前では、可愛い私でいたいのに。

あゆみ「あ、これ目が痒くて掻いちゃった」

健人「なんだよそれ、目薬差しなよ笑」

あゆみ「そうだね、そうする笑」

 こんな何気ない会話がずっと、ずっと続けばいいのになぁ、と心の中で深くそう思った。


健人「早く行こうぜ、遅刻すると担任に怒られる!」

あゆみ「あ、まって!」

 健人は走り出して、後から私も追いかけるように走った。


私の幸せは、好きな人と一緒にいること。

 例えそれが両思いでなくてもいい。

 一方通行の片思いでも、構わない。


ー学校ー

担任「席につけよー。あれ、健人と伊東は……」

 『ガラガラガラ』

私たちは息を切らして、教室のドアを開けた。

健人「すみません!ギリセーフですよね!?」

担任「遅刻だ!」

 『え〜!?』

と、二人合わせて言った。

担任「早く座れ!」

 『まったく』という顔をしている担任。


私は、初めて遅刻をした。

 それが内申点に響くとか言われているけれど、そんなのはどうでもいい。

 私は健人と一緒にいられるのならそれでいい。


ーあの日、健人はまだ知らない。

 私が密かにして、健人に想いを寄せているということをー

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