育てた作物を人に分け与えることが趣味の男、ヨラク。彼の風変わりな言葉と、受け取る人々の反応を追ううちに、善意や感謝という言葉だけでは片づかないものが見えてきます。土や樹木、果実に託された比喩が豊かで、同じ言葉の印象が読み進めるほど変わっていくのが面白い。与える側にも受け取る側にも、すんなり共感しきれないところに引き込まれました。人のために何かをするとはどういうことか。不穏さと可笑しさの入り交じる語りが、読後にも問いを残す短編です。