「魔王に愛される転生もの」と思って読み始めると良い意味で予想を裏切られます。本作の最大の魅力は魔王レイヴァンの一途な愛ではなく、その愛の向き先が「今のクレア」ではなく「前世のクレア」かもしれないという切なさです。優しくされるほど自分ではない誰かの面影を感じてしまう苦しさが胸に刺さります。軽快な会話で読みやすい一方、恋愛は想像以上に繊細で重厚。最大の恋敵が前世の自分という設定が秀逸で続きを追う手が止まらなくなる作品です。