麹菌が喋った。
しかも関西弁で。
そして相手は――
セルゲイ・エイゼンシュテイン。
私「…………ストップ!」
――いや、待ってください。
何をどうしたら、この二つを出会わせようと思うんですか!?
冒頭から既に、発想の飛躍がすごい。
「麹菌」と「航時機」を音でつなぎ、
そこからタイムスリップへ飛び、
さらにエイゼンシュテインの「モンタージュ」という思想そのものを――
歴史を編集する能力へ変えてしまう。
この飛躍――
無茶苦茶です。
なのに、読んでいるうちに、
「……あれ? これ、めちゃくちゃ筋が通ってない?」
となるのが恐ろしい。
そこに、
作者様の発想の鋭さと、素晴らしさが表れています!
未来を見た。
ならば変えればいい。
歴史が一本のフィルムなら、
悪い部分を切って、
良い部分を残して、
順番を変えて、
理想の未来へ編集してしまえばいい。
――なるほど。
いや、なるほどじゃない!!! Σ(゚□゚;)ハッ
歴史をネガフィルムみたいにチョキチョキするのはどうなのか!!!
ツッコミを入れつつ、笑って読んでいるはずなのに、
その発想の奥には、かなり鋭い問いがあります。
誰かにとって「良い時代」とは何なのか。
不要な歴史を消してしまっていいのか。
苦しみのない世界を作るためなら、
そこにいた人々まで「編集」していいのか。
突拍子もないほど豪快なアイデアの裏側から、
気づけば、とんでもなく真面目なSFの顔が覗いてくる。
そして何より私は言いたい。
これを横断歩道待ちの三十秒で思いついたんですか!?
その発想、一体どこから飛んでくるのでしょう(笑)。
いったい、どんな思考回路からこんな発想が飛び出してくるのでしょうか!?
麹菌。
映画史。
言葉遊び。
時間旅行。
少子高齢化。
歴史改変。
理想郷。
普通なら絶対に交差しないものたちが、
〈モンタージュ〉された瞬間、
一篇の唯一無二のSFへ化ける。
これはもう――
物語そのものが、モンタージュです。
読後、
「歴史は繰り返す」という、よく耳にする言葉の見え方が変わるかもしれません。
さあ皆様!
まずは麹菌の声に耳を澄ませてください。
そこから先は――
究極の俯瞰者となったエイゼンシュテインが、歴史そのものを切って貼ってみせます。