母の再婚相手のこども、つまりは自分にとっての新しい弟が行方不明になってしまった高校2年の仄香(ほのか)。
どうにもならない周りの諸々に1人思い悩む仄香の前に、ふしぎな案内役が現れて――。
人ならざる「化生」たちによる神隠しの顛末を軸に、1人の少女の心の機微の変遷を綴ったお話です。
「そんな事言われても」。ありますよね。自分ではどうにもならないことを、自分が原因だと言われてしまうこと。
そして、本当にどうにもならない自分のこと、そんな自分を恥じること、動けない自分が、さらに自分を閉じ込めてしまうこと。
そういったもやもやを抱えながら、仄香は歩んでいきます。
不思議な喫茶店のものたちと一緒に。自分なりに。
不思議な人ならざる者のお話が好きな方、こころの置き所を考えている方、
そして、喫茶店のえにしのものがたりが好きな方、ぜひご一読を。とてもきれいなお話なのです。
ある、冬の日。
雲居仄香の異父弟である雲居悠希が行方不明になった。進展のないまま1週間、彼女が手にしたのは一枚の小さな紙。
失せ人、捜します。
その言葉に導かれるようにして、仄香は『からすのねどこ』にたどり着く――。
この作品の季節は冬です。そして、仄香もまた、冬の最中にいました。
人が隠される神隠しを辿り、仄香は人とも、化生とも、縁を繋いでいきます。
それから、不思議な影法師。
彼女は実父の面影を思い出しながら、少しづつ、少しずつ、冬の終わりに向かっていくのです。
あるひとつの愛を見ました。
いくつもの紡がれた縁を見ました。
彼女のたどり着いた冬の終わり――春に、あなたもたどり着いてみませんか。
ぜひ、ご一読ください。