目を合わせたい。触れ合いたい。一緒に好きなマカロンを食べたい。けれど、それを叶えたときには、すべてが冷たく、固くなってしまう――。成就したと同時に終わってしまう、哀しい愛をありありと描いたワンシーン。
「優しさ」という言葉が、読み進めるほど恐ろしく変質していく掌編です。手をつなぐ、マカロンを分け合う、愛していると伝える――最初は恋人同士の穏やかな時間に見える描写が、終盤にはすべて「石」に変わってしまう。特に、最後まで残った「瞳」と、それを閉じてあげる「私」の行為が切実です。甘いマカロンまで石になってしまう結末には、愛情と喪失が同時に残ります。
最初は二人の甘く優しいやり取りを微笑ましく拝読していたのですが、読み進めていくと、少しずつ感じる違和感に「何かがおかしい……」と思うようになりました。愛する人に触れたい、もっと近くにいたいという気持ちが伝わってくるからこそ、途中からは切なさも感じて……。「これも、優しさ。」という言葉に主人公の愛の深さを感じられました。怖さの中に、深い悲しみと切なさが込められた、奥深い作品です。素敵作品を拝読させて頂き、ありがとうございました。
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