異世界へやってきた小夜と、追われる青年キョウリ。危険な出会いから始まる物語ですが、二人のちぐはぐな会話や、道中で出会う面々が楽しく、思わず頬が緩みます。
堂々とした大蛇なのに親しみやすいセラ、何でも恋の話に結びつけたいスズ、ツッコミに忙しいヒヅキ。神秘的な世界にも、こういう人たちが暮らしている。その賑やかさが、この世界をもっと知りたいと思わせてくれます。
そして、明るいやり取りの奥には、小夜を導いた玉と声の謎、キョウリが抱える事情がある。笑って読んでいたところから、ふと不穏なものが顔を出します。
第一章・十七までで特に心に残ったのは、知らない世界で助けられた小夜が、今度は自分も誰かの役に立ちたいと思うこと。守られるだけでは終わらない、その気持ちと、不器用なキョウリとの関係を見守りたくなるファンタジーです。