10話までのレビューです。
六本木の会員制バーを舞台に、バーテンダーの主人公が、客たちの持ち込む恋愛や秘密に触れていく物語。
一話ごとに異なるカクテルが登場し、その味や印象が、その回で描かれる感情と重なっているところが印象的でした。
扱われるのも単純な「好き」「嫌い」だけではありません。
愛しているから離れられない。
大切だからこそ本当のことを言えない。
もう愛していないのに、嫌われるのは怖い。
そんな簡単には割り切れない人間の感情が、夜のバーという舞台によく似合っています。
そして10話まで読み進めると、客の秘密を見抜いていた主人公自身にも、簡単には言葉にできない過去や感情があることが少しずつ見えてきます。
一話ずつ楽しめる連作形式でありながら、その裏側では一本の物語が静かに進んでいる。
甘さだけでも、苦さだけでもない。
タイトル通りの味わいを持った、大人の恋愛ミステリーでした。