ラズライト
カサ
#1 少年
夕日に照らされた街。
洋服に和服、中華服。様々な文化が混ざる国、アウィス。
その中心都市、センタボルタの街。人々で賑わう大通りには幾つもの屋台が並んでいた。
「まいど!」
商人の声が賑やかな街並みに溶ける。
「どうも!」
そんな街中に元気な少年の声が響く。少年らしい笑顔を浮かべ商人に手を振り屋台を後に歩き出した。
彼の名は伊座ナミ セト(いざなみ せと)。夕日を跳ね返す瞳で街並みを眺めながらゆった髪の毛を揺らし、前に後ろにと移りゆく人混みの中を歩く後ろ姿。
角を曲がると夕日が明るく照らすものの、人の通りが無い住宅街が広がった。
そこを登りきりセトは一件の家の扉に手をかける。
「……」
カラスの鳴き声が太陽との別れを告げる。
あたりは薄暗くなっていくというのにセトはその扉にかけた手を話さないままその場からしばらく動かなかった。
先程までの笑顔は消え、ハイライトの入らない虚ろな瞳で、そして無表情で扉を見つめる。
ガチャッ
暫くするとセトが扉を開け家の中へ入った。
手を離すと扉がゆっくりと音を立て閉まる。
紙袋を棚に置く。
棚には伏せられた写真立てと枯れた花が悲しく散らばっている。
セトはただ上に来ていたローブを脱ぎ紙袋を手に取り廊下を進む。
扉のしまった部屋の横を通り過ぎた時、中から音が聞こえる。
ガシャン
セトの瞳孔がピクっと開く。そしてまるで時が止まったようにその場で固まった。
「おい、どこへ行ってた」
ふと扉の開く音とともに一人の男の声がした。
怒りのこもった、低く、大きく、冷たい声。
セトが引きつった顔のまま振り返ろうとする。
と、突然拳がセトの頬を直撃した。
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