婚約破棄から始まったので、最初は普通の静かに暮らしたい…そんな令嬢ものだと思って読み始めましていました。
でも変にメンタルが元気な変わった王女と、顔が良くて性格に難のある公爵家のイケメン。
ここまでは分かります。
でも様子がおかしい。
王国が滅びて、国を立て直すことになって、特産品のお茶を値上げして、売ったお金はすぐには入ってこなくて、船を動かすにもお金がかかる。
挙げ句の果てには、預けた香典を株で全部溶かされる。
令嬢ものを読んでいたはずなのに、なんだか妙に世知辛い。
でも、この世知辛さが面白いです。あと、侍女のオリーブも優しいけど、ちょっとおかしい。侍女の父親もおかしい(笑)
バイオレット王女は王女なのに全然優雅じゃありません。
学費を心配して、宿題の代筆で内職して、余った昼食は持って帰る。野菜も売る。お金が入ったと思ったら別のところから出ていく。
社会人としては、ものすごく分かります。
ファンタジーなのに。
そして巨大な「黒い箱舟」いよいよ本格ファンタジーだと思いました。
いかにも何か恐ろしいことが起きそうな船が、神殿の偉い人たちを乗せてユーレリア帝国へやってくる。
ところが外国船の入港手続きをしていなかったので、
「とにかく一度、領海から出ろ」
と追い返される。
ここ、かなり好きです。
どれだけ偉くても、どれだけ魔法が使えても、手続きをしていなければ港には入れない!なんで?
でも、こういうところが妙に好きです。
恋愛も変わっています。
王子様役のはずのイケメンは王女を助けてくれるけれど、無償ではありません。
手形を現金にしてあげれば自分も儲けるし、株でもしっかり稼ぐ。王女との結婚にも大きな野望がある。
そしてプロポーズが「金に不自由のない人生を!」とかです。
そんなプロポーズある?
と思ったのに、貧乏生活を続けてきたバイオレットにはめちゃくちゃ刺さっていました。私も刺さりました。イケメンだし…嬉しいかもです。素敵な指輪つきです。
しかも二人とも「愛より信頼」「友達の最上位」みたいなことを言っているのに、素敵なドレスをあげたり、もらった薔薇を大事に干していたりする。やっぱり私もはいっていっちゃうしかない!
本人たちだけが気づいていない感じが、可愛く見えてきました。じれじれです。
あと、この作品は脇役まで妙です。
香典を株で全部溶かすイケメン神官に、勝手に王女のお金を使うイケオジ?神官、恋の香水を振りまく神官?侍女?
アウトドア感覚で侵略する悪い皇帝のはずなのに、皇后には弱いなんとなくかわいい皇帝。
まともなのは、侍女のオリーブくらいです。
読んでいて思ったのは、ようやく新しい令嬢ものを見つけた!でした。
婚約破棄も、舞踏会も、ドレスも、イケメン公子もちゃんとあるのに、その横で、生活費と手形と株と船の入港手続きの話をしている。
何ジャンルなのかは…書いてました。確かに、国家再建×魔導金融×バディコメディです。
そのままガンガン読んでいると、遂に元銀行員らしい男が出てきました。
お願いだから、もう王女のお金を取らないでないでください!
嫌な予感しかしませんが、
でも、ひょっとしたら、今度こそ王女とオリーブが幸せになるのかも?あと自転車は気をつけてください。
あと、シュリンプ令嬢も好きです。この先も出てほしい。