この作品は、革命軍のスパイとして潜入した少女が、ひょんなことから暗殺者たちと暮らすことになり、正義とは何かを考え始める、異色のファンタジーだと思います。
主人公のアーネは、魔法使いでありながら気弱で、革命軍でも十分に能力を発揮できずにいた少女です。そんな彼女が暗殺者クロウの妻という立場に置かれ、個性的な仲間たちに振り回される展開が面白く、軽妙な会話には思わず笑ってしまいました。
特に印象的だったのは、自分を何度も殺そうとしたレイを、アーネが見捨てずに助けようとする場面です。相手の過去や抱える想いを知ることで、少しずつ関係が変わっていく描写に、アーネの優しさと芯の強さが表れていると感じました。
また、貴族の悪事を暴く暗殺任務を通じて、アーネが自分の信じてきた正義に疑問を抱く展開も心に残りました。革命を掲げながら犠牲を容認する者と、暗殺者でありながら民衆を救う者。その対比には、単純な善悪では割り切れない物語の奥行きを感じます。
単なる暗殺者との共同生活を描くコメディではなく、立場や肩書ではなく、自分の目で善悪を判断することの大切さを描いている点も魅力です。
序盤までの紹介となりますが、それぞれの正義や信念が交錯する人間ドラマと、軽妙なコメディが織りなすファンタジーが好きな人にはおすすめの物語だと思います。