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ギガントアーム スズカゼ 第2話 WIP3

「足音、しなかったような気が」
「歩いてないからだろう。見ての通りスラスターで浮いている。歩行機能にも何かエラーが起きているのかもしれんな」
「なるほどー」
「諦めた顔しないでくださいよ加藤さん! まだ一機だけなら」
「ああ、まだ一機。しかも故障中であれば」

 ぎこちなく、ハンドガンを三人へ向けるグラウカ。照準。引かれる引鉄。

「勝機は、まだあるッ!」

 ミスカが叫ぶと同時、銃弾は着弾。今度こそ防御フィールドに激突した衝撃は、それまでに倍する音と衝撃をもたらした。一郎は転んでしまった程だ。
 しかし、ミスカは逆だった。再び跳躍したのだ。
 一直線の急上昇。狙うは、やはり頭部。半壊状態のものを全壊とし、機能停止を狙う算段。
 だがグラウカとてその程度は読んでいる。上がる右腕。内部機構展開。顔を出したガトリングガンがミスカを照準。射撃。虫を払うようにばら撒かれる弾幕。

「ほう」

 一部始終を地上で見ていたジットは、息を呑んだ。ミスカの見事さにだ。
 ミスカの上昇は突如稲妻じみた軌道へと変わり、横殴りの弾雨を回避したのだ。
 勿論完璧な回避ではない。数発受けている。だが彼の防御フィールドを破るには至らない。
 ガトリングガンをばら撒きながら、グラウカはなおミスカを追う。宙を蹴り、ミスカは逃げる。必然的にミスカはグラウカの周囲を旋回するような形となり、グラウカはそれを追って緩やかに回転する。
 一回。二回。三回目の回転に移りかけた時、グラウカの身体が少し傾いだ。ダメージによる影響だろう。
 ミスカは、これを待っていた。

「しゅっ」

 バックラーを構えつつ、鋭い呼気を吐くミスカは、一層強く宙を蹴った。
 生じるのは弾丸じみた速度の飛翔。その照準先には、当然ながらグラウカの側頭部があり。


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