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トロッコ問題の要諦とは

 ツイッターでトロッコ問題という単語が目に入ったのでAIのGROKに考えを聞いてみた所、AIなので特定の思想に基づいた回答はできないと回答がありました。ちなみにトロッコ問題とは哲学的な思考実験で以下のようなものです。

トロッコ問題(Trolley Problem)は、倫理学や道徳哲学でよく議論される思考実験です。基本的な設定は以下の通り:
状況:線路上を走るトロッコが制御不能になり、このままでは5人の作業員を轢いてしまう。一方、別の線路には1人の作業員がいる。あなたはレバーを引くことでトロッコの進路を変更し、5人を救う代わりに1人を犠牲にすることができる。

選択:レバーを引くべきか(1人を犠牲にして5人を救う)、何もしないか(5人が死ぬがあなたは直接関与しない)。

ポイント
功利主義:5人を救う方が「より多くの幸福」をもたらすため、レバーを引くべきと考える。これは結果を重視する立場。

義務論:人を意図的に犠牲にすることは道徳的に許されないため、何もしない方が正しいとする。行為そのものの正しさを重視。

心理的要素:レバーを引くことは「積極的な行動」であり、責任感や罪悪感が強まる。一方、何もしないことは「受動的」だが、5人の死を間接的に許すことになる。

 思考実験なのでどちらの選択も可能ですが、現実にはトロッコの進路を選択することはなさそうです。しかし似たようなことがあるかどうかを考えてみたのですが、意外とあるのかもしれないと思いました。

 ウクライナはロシアに侵略されている真っ最中ですが、北朝鮮や中国からも派兵されているようです。しかしロシアは公式には認めておらず、認めた場合は国際法違反になるそうです。今更ロシアが国際法違反を気にすることはなさそうですが、この事案と世界がまともに向き合うとなるとロシアとの対立が激化し最悪の場合第三次世界大戦にまで発展するとかしないとか。軍事や政治のことはよく分かりませんが、とにかくロシアは公式には認めず、世界の各国や国連も現時点では有効な手立てがありません。
 トロッコ問題で言うならば、ロシアやその他の国の兵士から攻められているウクライナは一人の作業員でしょうか。ロシアだけでも困っているのにそこに他の国も敵として参加するとなると、更に戦闘が激化し被害も大きくなるでしょう。それを救うにはロシアに与しない国家が協力して止めるしかありません。
 現時点では物資や弾薬の協力という形でしかウクライナを支援していません。根本的な解決をするには他国から派兵、航空戦力による支援などが必要になるのでしょう。しかしそうなると戦争は世界中に拡大してしまう。
 それは一つの国を救うためにレバーを引き、より多くの国の側にトロッコを進ませる行為のように思えます。トロッコ問題とは逆の展開ですが、回避不能な犠牲をどのように選択するかという点では同じようなものだろうと思いました。

 高額療養費の負担上限額引き上げの話がありましたが、これもトロッコ問題的な所があると思いました。
 高額療養費の上限を超える費用は税金で賄われますが、医療費の増大を抑えるために上限額を引き上げ、税金で賄う額を減らす目的があったそうです。
 そうなると癌やその他の高額な治療費がかかる患者の人は支払うことが出来ずに治療を諦めることになり、お金が原因で死を選択することになります。
 一方で税金は有限なので全ての問題に十分な予算をつける事はできないようです。病気の人を救う事も大事ですが、老朽化した上下水道の修理の予算をつけないと八潮の道路陥没のような事が頻発し、人命が失われ社会活動にも大きな支障が出ます。
 高額療養費制度の4回以上の多数回使用者は155万人、1~3回の使用者は795万人だそうです。合計で950万人で1億2500人に対して7.6%。
 今の所上限引き上げは見送られたようですが、実施された場合は950万人のうちの数万人くらいは治療を諦めることになるのでしょうか。予算的には厚生労働省の資料では1200億~5000億円程度医療費を削減できるそうです。令和7年度の予算は115兆1978億円で、これに対して5000億円は0.4%。これを減らすために数万人程度が死ぬとしたらそれはどう判断すればいいのか。
 5000億円あれば助けられる人がいて、そのための金を高額療養費制度の利用者を切り捨てて捻出する。政府はそのレバーを引こうとしましたが、患者団体などが反対意見を表明しました。なお私は何もしませんでした。ふーんと思ってニュースを見ていただけです。

 とある会社では若い女性を関係する芸能人や会社の上司に紹介し性的な接待を行っていたという報道がありました。その犯罪的な行為に関与した人たちは、それを是正することで自分達や組織が崩壊するので何もせずずっと連綿とその習慣を引き継いでいたようです。彼らは自分たちに向かってくるトロッコを、ごく少数の女性に向かうようにレバーを引きました。そうすれば自分は出世できるし、組織も安泰。さらに女性もその状況を甘受するならばキャリアアップが望めたのでしょう。
 しかし一連の行為が明るみになりその会社はなんかやばい感じになっているようです。
 発端になった事件の被害者はどのような思いでその事を明るみにしたのでしょうか。好奇の目にさらされ、思い出したくもない事を掘り返され、相当の辛苦が予想されることは想像に難くありません。実際どのような経緯なのかよく知りませんが、彼女の件が明るみになったことで関係した人は社会的な地位を失ったりしているようです。
 一方で今後犠牲になるかも知れなかった女性たちは救われ、しかし性的接待と引き換えに得られたかもしれないチャンスも失われたのかもしれません。引かれたレバーがトロッコをどこへ進めたのかよく分かりませんが、あるいは誰も助かってはいないのかもしれません。

 そんな事を考えていたのですが、トロッコ問題の要諦とは被害者や助かる人の数の多寡ではなく、決断することの責任なのだろうと思いました。
 選び難い選択があり、しかし確実に何らかの結果がもたらされる。全員は救えないその時に、私が何を選ぶのか。
 私がロシアとの戦争に直接参加することはないので、出来るのはせいぜい選挙で投票先を選ぶことだけです。しかし自分の身にいつか途方もない問題が起きるかもしれません。その時には私は何かを選ばないといけない。私は5人を見殺しにするか、一人を殺すか、あるいは自分自身が死ぬことになるのか。
 世界情勢が不穏になり、自身の体調も思わしくない。両親もその内死ぬのでしょうが、介護などの問題がある。飼い猫も実家に七匹いるので病気にでもなったら大変です。恐らくは金銭的な問題になりそうですが、金がないので死を選ばなければならないことは起きそうです。猫も重病になると百万くらいかかる手術があるそうですが、私はその金を捻出する自信がない。ペット保険もあるようですがそれだけでは賄えないこともあるようです。私は何かを犠牲にし、何かを捨てなければならない。
 私は金を惜しみ、トロッコを猫の方に進ませて死なせる。そんな未来を想像します。

 結局何が言いたかったのか。よく分かりません。ただ陰鬱な気分になっただけです。
 お金があれば大抵の問題は解決するらしいので、とりあえず何かの賞が取れるように頑張って書きます。トロッコが私を引き殺す前に何とかしたいと思います。

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