なろうでの作品です。
「そうそう、セリアン。バックを持ってきてくれた?」
「もちろん。 これって何がはいつているんで?」
中には、聖書であるパサールとハンドベル、それと聖水の入ったボトルが入っている。寄進を受ける門付けの典礼をする時に使うものなんだ。
通りをセリアンと一緒に歩いていく。甲虫退治の一仕事が終わった道行になる。
帰りの途中に気づいてしまう。仮面の下で額がちりちりと痛み出す。
額にいる御方からの注意なんだよね。何処かの誰かがつけて来ていると、
「セリアン、このバーヌースと杖を教会までお願いできる?」
「俺だけかぁ、」
「つけてきている輩にちょっかい出されて」
騒ぎの後、すぐに脱いで折り畳んだバーヌースを掲げるように持って、
「聖女様の羽織るべき藍色の聖衣を、汚しようものなら」
「汚したら、どうなるんだよ」
「あなたの綺麗な赤毛を全身剃られて、それを売り飛ばされるのよ」
セリアンは自分の体を抱いて、
「ひでぇな」
「それでも足りなくて、目までくり抜かれて、魔法素材だっていって売られる」
ギョッとした目つきで私か掲げ持つ、聖衣をセリアンは見つめる。
「おい、そんな大事なもの着て、どんぱちやっているのかよ」
私は私は嘆息する。
「しょうがないよ。そんなことやるしか、生きていけないの。」
「トゥーリィさんや、なんか言葉に酔ってない?」
私は、ちろっと舌を出して、
「ばれちゃった。それぐらい大事なものってこと」
多分だけど、コールマンが、予備をたくさん隠しているような気がする。
恩義せやましく、私もその罪被りましてよ、のセリフを吐きつつ、予備の聖衣をハンガーごと見せてくるような気がして来た。
「だから、お願い。聖衣を教会へ届けて欲しいの。祭壇へ安置してくれるかなぁ」
「俺はいいけどよぉ。トゥーリはどうなる?」
「私のことはいいのよ。見ているでしょ、私の力。大丈夫だって」
何か言いたそうなセリアンに無理矢理、藍色の聖衣を渡す。
「この先の細い路地に私は入るから、セリアンは教会まで真っ直ぐ全力で走る!良い?」
「わかったよう。祭壇に収めたら、すぐ衛士の詰所によってやる」
「さすがセリアン。助けを呼んでね」
私たちは話をしていた細い路地の入り口についた。
「じゃあ、頼むね」
セリアンは駆け出していく。流石に獣人狼族、早い。あっという間に姿が見えなくなった。
私も細い路地に入り込んでいく。薄暗い中、奥まで行くと
「ハイドゥミィ<カクシタマエ>」
主へ願いをたてていく。そして途中にある小さい物入れの掘立小屋があったからその影に隠れる。
しばらく息を潜めていると、この路地へ影がふたつはいってきた。逆光になっているから、顔も判別できない。
私も、しばらくして目が周りに慣れてきた。
(黒いロングドレスにグレーのピナフォア。何処ぞ使用人かな)
2人は奥まで入り込んでくる。お互い、手を上げて指先を動かして、ハンドサインで意思伝達している。
(玄人だね。なかなかの手練れだ)
そのうちに私が隠れている小屋まで近づいてきたけど、キョロキョロしている。
主への願いが届いて私の姿が隠れてわからないよう。なら、しばらくこのままだね。
