世間のひとにとり直木賞も本屋大賞も、いわゆる大衆娯楽小説もそう違いがなくなってきたのでようやくこの話題に取りかかれるのではないかと期待している。
今年は該当作なし。
が、ずっと芥川賞というのはブランクスペースであり続け、芥川の名前だけが価値があるものだ。
私はどうせやるなら基準を定めて、新人を育成していけばよいと思っている。委員の先生方もほんとうは同じ志だろうと思う。
いわゆる市場の原理や伝統の文脈にのらない作家たちだ。まさに新人の為の賞。
歴代の選考委員は日本という貧しい小説の国ということを念頭に置いて仕事をして来たと思うが、いつからか日本的なもの、小説的なものというような雲を掴むような世代ばかりになってしまう。そうなると暗黙知が通用せず逆にしっかり理論を示さなくてはいけなくなる。それが今回のいわゆる枯渇、どん詰まりだと思う。見れば良いタイトルがいつになく並ぶ。ひとつ選んでみて見てほしい。
震災後アニメが日常的では居られなくなり自ら発狂するような作風や広くいえば多くは異世界転生ものになってしまった。時代のレトロ感と呼応するように新人が新人らしくあれば良かった平成よりも世間がユニバーサルを求めた形だろうか、ずいぶん大風呂敷なタイトルが乱立し、それと合わせ声優の青田刈りも眉をひそめるほどに苛烈を極める。
それに比べると漫画と小説に影響はなかったと思う。すでに金持ちの道楽に近づいていたせいか、経済観念だのなんだのも今さらという感じ、不動産まで突っ込むほど破綻していてそのうえでなんの変化もない出版業界。
そんなことが奇妙に左右して結果としては悪くない震災以後だった。個人的には町田洋の登場は大きい。あと乱と灰色の世界かな。宝石は、ぅ~ん。いやローファー好きだけどさ。たぶん24時の最後の話のテーマ拡張だよね。フェミニズムなのかな。
私は少し心配していたので良かった良かったと思った。
でもこれからは違う。かどうかはわからないが経済がポシャればこんな道楽は続かない。実際漫画もどんどんユニバーサルに近づいて、すでにマイノリティの物語ではない。ずいぶんまえからその気はあったが。マイノリティだけど容姿端麗の英雄から、世間という名前のものを説教してまわる年齢不詳の魔導牧師になった。あとは作家のシャドウがそのまま出てきて適当にダンスして何となく物語してる。マジョリティーのダンス。
あれを誰が読んでいるのだろう。まさにサイレントマジョリティーだ。
いや、アニメなかったら漫画もないよね
なんとかマイノリティの物語を続けてほしい
漫画はこのまま時を止めたままだろうと思う。
テレビ放映のアニメがきっと何かやってくれると思っている。
ケズナジャットさんにあげても良かったのにね。
あれで落としたら歴代の正当性が塵にかえってしまう。