『楽しそうに笑うその顔を殴りつける理由などありはしない』を公開しました。
https://kakuyomu.jp/works/16818622172298233969/episodes/16818622172298244836 内容がやや専門的になってしまったので、解説を書きました。
作品の理解にお役立てください。
○触法調査
今回、十三歳の少年が教室で起こした事件を警察官である友永が調査しているのは、規定に沿ったものになります。
作中でも言及がありますが、刑罰に触れる行為をした十四歳未満の少年は「触法少年」と呼ばれます。この触法少年を調べるのが、触法調査です。触法調査は捜査とは異なります。
触法調査を少年補導職員が行うケースもあります。
○児相送致
触法調査によって事件内容が条件を満たすと判断された場合、警察から児童相談所へ事件が引き継がれます。それが児相送致です。
児相送致された事件は、児童相談所から家庭裁判所に送致される見込みがあります。
○児相通告
触法少年を児童相談所へ引き継ぐのが児相通告です。児相は事件を引き継ぐことはありませんが、触法少年についての調査を行います。調査の結果、触法少年の家庭などに対して指導などを行います。
児相での調査の結果、家庭裁判所に事件が送致されるケースもあります。
○少年補導職員
警察に所属する専門職員で、警察官ではありません。ただ、服務規程では制服を着用するようになっています。
少年補導職員は、少年の非行防止や健全育成を目的として活動します。そのための専門知識を持っていることもあります。
○表情認知障害
人間には、他人の表情を読み取る認知能力があります。その能力に異常がある状態を表情認知障害といいます。
作中ではある程度の脚色をしていますが、例えば、快・不快の表情が読みづらい、不快な表情を別の感情と誤認するといった事例が挙げられます。
表情認知障害の原因は病気など、さまざまあります。被虐待体験というのもそのひとつだといわれています。
○表情分析
ポール・エクマンを第一人者とする表情分析研究があります。
エクマンはフィールドワークによって、人間の表情は万国共通だということを証明しました。現在の表情分析は彼の功績のもとに成り立っています。
江隅の名前はポール・エクマンを基にしています。