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バレンタイン特別更新9

別面:働く検証班





 イベントの時、検証班は忙しい。
 それは「フリーオール・アドバンチュア・オンライン」の運営が、イベントなんだから特別仕様で、とばかり、毎回毎度必ずと断言できる程度に特別な法則やアイテムをお出ししてきたからだ。
 それを解析し、記録し、把握するのが検証班の仕事である。またそうやって明らかになったデータは大体の場合公開される。何故ならそうやって公開すれば、そのデータを使って|召喚者《プレイヤー》が試行錯誤した結果、新たな法則が明らかになったりするからである。

「ミルクチョコレート以外のドロップ品はないのか」
「ブラックチョコレートは確認された」
「そっちの検証は?」
「提供者が作っていたのは「鉛の矢」だったが、他にも愛を失わせたり恋を破ったりする伝説がある品を模せばいいらしい事はほぼ確定した。今はその強度によってカカオの含有量が変化するかどうかの検証中」
「ブラックがあるならホワイトもある筈だがなぁ……」
「カカオの実はどこだよ」
「目撃例は無い」
「フリアド世界固有種のクォーツチョコレートは?」
「あれは恐らくカカオの実を発見しないとダメだ」

 なおイベントはその大半が戦闘を伴うものである都合上、検証会場は最前線である事が多い。
 よって検証班は要救助者を助けるついでに作られた砦を検証用として利用する事にして、絶賛防衛戦をしながら検証を進めているのだった。

「仮名巨大モンスターの出現を確認。チョコレートの池が「愛」と名のつくものに変わったら出現で確定」
「おけまとめる」
「ブラックチョコレートに変化したモンスターも回収できた。ほぼカカオマスの塊だ」
「共有する。料理班が喜ぶんじゃないか」
「正直助かる。甘いもの苦手って訳じゃないが空気まで甘いと別だ」
「特定の「愛」のチョコレートを使えばクォーツチョコレートになるのか?」
「チョコレートの種類の把握もまだなんだが」
「木の形をしたチョコレートを回収したらカカオの実がついてないか」
「まだ初日だからフラグが足りない可能性もある」

 あらゆる可能性を思いつくまま言葉に出して共有し、体と頭を別々に動かして情報と法則を探っていく。その基本が総当たりなのもあって、検証班と呼ばれる彼らは、その実全員が特級戦力に比肩する程の実力者だった。

「検証依頼、ちぃ姫から。特定品質以上のチョコレートを使った武器で特殊モンスターを討伐した場合、ホワイトチョコレートがドロップする可能性」
「なるほど」
「でもそれはもうだいぶ試した筈だが」
「特殊要項として、イベント空間内部特有の贈与補正を加味されたし、との事」
「好感度ステータスか。いや影響度ステータスか?」
「ここまでのチョコレートによる特殊バフの事を考えると、影響度も無くはないがどちらかというと好感度だな」
「【絆】と【契約】を持っている|召喚者《プレイヤー》に協力を頼むぞ」
「【料理】のレベルはひとまず後回しだ。まず好感度とチョコレートの品質から確認する」
「いや【料理】スキル持ちにも協力を仰ごう。本人が作ったら名前がついて影響度と好感度の補正が入る。無視できない」

 なので、その実割と適当で難易度の高い検証を依頼されても、必要な条件を絞り込むのはとても速かった。
 まぁ、その依頼をしてきた相手が、過去のイベントにおいてこれでもかと仕様を明らかにした実績の持ち主だったというのもあるだろうが。

「なあこれ本人は? 完全に条件合致だろ」
「依頼主は現在仮称巨大モンスターを発生させる「苦悩のチョコレート」の池の防衛及び依頼主呼称レイドサイズの特殊モンスターとの戦闘中だとの事」
「待て、情報が多い」
「さらに巨大な相手がいるのは聞いてない」
「なるほど自分でやってる余裕が無いから丸投げか」
「苦悩? 前回は渇望だったな?」
「巨大モンスターが発生するならその更に巨大なやつを発生させる場所があるのもほぼ確定」
「とりあえずその「レイドサイズ」ってやつのスクショ頼んで」
「特殊名称無しって事はまだ何かあるぞこれ」
「もしかして本気で種別レイドボス出現まであるのか」

 なお、それはそれとして、もっと他に言う事あるだろ? と思うぐらいは許されたい、と思う検証班だったりした。

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