41.5話 届いたエラー
*不明なダンジョンマスターのつぶやきを検知
*内容を確認
*チケット用DP抽選機に関する不具合
*不明なダンジョンマスターのアカウントを確認
**アカウントが確認されませんでした
*チケット用DP抽選機の結果を全件検索
**レアリティ[-]の排出を確認
*DP抽選機には存在しないレアリティの排出を確認
*DP抽選機から排出されたアイテムを検索
*1件の亜空間座標が該当
*ダンジョン『雑草平原』を確認
*『雑草平原』のダンジョンマスターを確認
*『雑草平原』のダンジョンマスターのDP抽選機履歴を確認
*チケット用DP抽選機の実行を確認
*エラーとして報告を送信
*チケット用DP抽選機に使用されたDPの再計算を開始
「おわらねぇ……おわらねぇ……」
「あのクソ上司がよぉ……」
「願いで世界が壊れる、ダンジョン増える、ダンジョン攻略、願いが叶う、願いで世界が壊れる、無限ループ?」
「これが人間の夢想した永久機関?」
「願いで人間も壊れてるけどな」
「学べよぉ……」
「夢を見るから人間だーってか……」
「たまにちゃんと分かって願う人間がいるのがまた」
「願いは1人1回までって制限つけたの誰? グッジョブ」
「それシステムだよ」
「ゆうしゅう~」
「あれ、そのシステムから何かメール来てる」
「なぁにぃ?」
「チケット用ガチャがおかしいって」
「あぁあの、ダンジョン側の壊れの原因」
「階層追加チケットとか誰が入れたんだよ……」
「しかもレアリティ[SSR]で割と出るって言うな」
「あれを引けるかどうかで完全に明暗分かれてるの笑うんだ」
「笑ってる場合じゃねぇのよ」
「で、何がおかしいって?」
「……あっちの世界の、紙のお金が出て来たんだって」
「は?」
「あとそのダンジョンマスターが作った、手作りの引換券が出て来たんだって」
「……な」
「それと、期限切れのゴミになった入場券みたいなの……」
「……」
「……」
「……」
「え、その、まさか……自分でなんぼでも作れるやつとゴミに、それぞれ1万DP出させちゃった……?」
「通常のやつの千連で差し引きゼロになるやつに、そんなのが混ざってた、って事……?」
「一番低いやつでも通常の100連だったよな……?」
「1割になるなら一番外れならまだありかって話だった筈……」
「……し、システム、いやシステムさん、詳細、もうちょっと詳しく……」
*運営者からの指示を確認
*『雑草平原』のダンジョンマスターのDP抽選機の結果を確認
**レアリティ[-]の大量の排出が確認されました
**モンスターの召喚ロック解除権利が確認されませんでした
**罠の設置ロック解除権利が確認されませんでした
**戦闘用スキルの付与が確認されませんでした
**DP抽選機に設定されていない廃棄物が結果として排出されている事が確認されました
*エラーとして報告を送信
*類似の報告の存在を確認
*至急対処案件として報告を送信
「え」
「なん、え……?」
「嘘だろ、今の状態でモンスターも罠もダンジョンマスター自身の戦闘力もゼロ!?」
「何で生きてんの……?」
「ていうかこの『雑草平原』って、何か前にも……」
「えーとメールメール、検索、『雑草平原』……あっ」
「あー……」
「あれか、アカウントに致命的なエラーがあった上に運が無いタイプ……」
「待て、まさかそれが分かってて対処してないって事? 誰も?」
「……そう言われると」
「人間の願いとその余波で」
「ダンジョンマスターのやらかしで」
「ガチャ結果のあれで」
「いやでも、ガチャは応急処置したが!?」
「応急処置出来てねぇじゃん」
「原因の調査……」
「……してないな……」
*DP抽選機に使用されたDPの再計算が完了
*再計算したDPを補填として添付
*エラーによる不利益に対する補填DPを添付
*送信
*報告を送信
「ふぁっ!?」
「し、システムから追加メール……」
「……大丈夫、補填DPと詫びDP送ったってだけだから」
「……」
「どうした」
「いや……ガチャが、全部、MPで回されてるのが気になって……」
「あぁ、ここのダンジョンマスターは……待て、ちょっと待て。システム! 『雑草平原』の侵入者関連のDPの詳細出せるか!?」
*運営者からの指示を確認
*『雑草平原』の侵入者によるDP収支を確認
**侵入者の滞在と撤退によるDPが発生していません
*発生DPを再計算
*DP計算システムの再チェック
*エラーを確認
*作成・適応したパッチを確認
**パッチが機能していない事を確認しました
*パッチ作成を中断
*報告を送信
「…………システムのパッチも効果出てないとか」
「はあ!?」
「え? ど、どういう事?」
「このダンジョンマスター、モンスターも罠も自分の戦闘力も、侵入者の滞在と撤退のDP収入もゼロだ」
「……」
「……」
「……」
「ついでに言えば、その侵入者に関するDPのところにシステムが当てた筈のパッチが働いてない」
「…………ヤベェな」
「ほんとマジでよく生きてるな……?」
「……流石にそれは……」
「おいこれ、他を後回しにしてでも調べないとダメなやつじゃ」
「そんな気がするなぁ……」
「でも死人より優先は出来ないだろ……?」
「そっちは時間制限ついてるからな……」
「どうすんだこれ」
※10/4一般公開予定