今回は、「けむくじゃらこ」第二期の物語をご紹介します。
舞台は、夜にだけ開く小さなパン屋。
店主の毛むくじゃらこは、二千五百万歳の暗黒魔導師です。
でも、寝坊もするし、物忘れもする。頭の赤いリボンが曲がっていると、本気で落ちこんでしまう。
そんな、もふもふの彼女が焼くパンには、誰かの心にそっと寄り添う、不思議な力があります。
第二期の始まりは、ひとつの古い箱。
差出人には、毛むくじゃらこ自身の名前。
けれど、受取人の欄は空白。
送った覚えも、その箱に託した気持ちも、思い出せません。
そして翌晩、見知らぬ来客が彼女に告げます。
「おかえり」
覚えている人と、覚えていない人。
二人の間にある長い時間を、焼きたてのパンと、少しずつ交わす言葉がつないでいきます。
第一期で描いた「受け取ること」「誰かと分けること」から、今度は「思い出せない相手と、いまからどう向き合うか」へ。
薬師セナ、記録官トワ、大賢者オルドとともに、記憶と赦しをめぐる物語が動き始めます。
もふもふの可愛らしさと、くすっと笑える日常。その奥に、忘れられない痛みや、言葉にできないさびしさを織り込んだファンタジーです。
「さびしさは、ひとりぶんで焼かないこと」
夜の終わりに、あたたかなパンをひとつ。
毛むくじゃらこの台所を、のぞいていただけたらうれしいです。
